クラッシング【crashing】
概要

プロジェクトは複数の工程が依存関係でつながっており、開始から終了までの経路は複数存在する。そのうち、いずれかの工程が遅延するとプロジェクト全体の完了が遅れる経路を「クリティカルパス」という。この経路上の工程には余裕時間(フロート)がなく、工期を短縮するにはクリティカルパス上の作業期間を圧縮する必要がある。
クラッシングでは、クリティカルパス上の工程を対象に追加要員の配置や設備の増強、外部委託などを行い、作業期間を短縮する。クリティカルパス以外の工程に資源を投じても全体の工期は縮まらないため、対象の選定が重要となる。クリティカルパスが複数存在する場合は、それらすべてで同等の短縮が実現されるよう、各経路の工程に対して同時に実施する必要がある。
ある工程を短縮した結果、それまで余裕のあった別の経路が最長経路となり、クリティカルパスが移行することがある。そのため、一度に極端な短縮を試みるのではなく、短縮後のスケジュール全体を確認しながら段階的に進めるのが一般的である。また、業務の性質によっては、人員を追加しても引き継ぎや調整に時間が取られ、期待通りに工期が縮まらない場合がある。分割が難しい作業や習熟を要する業務では追加人員が生産性に直結しないことがある。これは「ブルックスの法則」として知られる現象である。
クラッシングは追加コストを伴う手法であるため、短縮効果とコスト増加を比較した上で適用が判断される。工程の順序を見直して並列化することで工期を短縮する「ファストトラッキング」(fast tracking)と並ぶ代表的なスケジュール短縮手法であり、両者はアプローチが異なる。
(2026.6.18更新)