Dhrystone
ベンチマークテストはシステムの性能を測る手法の一つで、何らかの処理を繰り返し行うプログラムを一定時間実行し続け、終了までの実行時間や単位時間あたりの処理回数などを計測する。他の性能評価手法に比べ、実際の使用環境における総合的な性能を測ることができる。
Dhrystoneは様々な機種に対応したベンチマークプログラムの一種で、整数演算を含むループ処理を何度も繰り返し実行し、一秒あたりのループ実行数を性能指標として出力する。これを「Dhrystone数」あるいは「Dhrystone値」と呼び、値が大きいほど高性能であることを示している。
1984年にラインホルト・ワイカー(Reinhold P. Weicker)氏が開発したプログラムで、それ以前に存在した浮動小数点演算のベンチマークプログラム「Whetstone」(ウェットストーン)の名称をもじって名付けられた(wet:湿った、dry:乾いた)。初版はAdaで開発されたが、UNIX向けのC言語に移植されたバージョンが広く普及した。
Dhrystoneの測定結果は、1757で割った値である「DMIPS」(Dhrystone MIPS)で表されることが多い。これは、1977年に米DEC(Digital Equipment Corporation)社(当時)が発表したミニコン「VAX-11/780」のDhrystone値が1757であったことに由来し、「VAX-11/780の何倍の整数演算性能か」を表す値である。あるシステムの性能が20DMIPSであれば、VAX-11/780の20倍高速であることを示している。
(2024.8.27更新)