読み方 : リスクきょうゆう

リスク共有【risk sharing】

リスク共有とは?

企業などの組織が実施するリスク対応の一形態であり、他者との契約や合意に基づいて特定のリスクを分担する方策のこと。利益の分配や対価の支払いを条件に、リスクの一部を他者に引き受けてもらう手法で、合弁事業、施設の共同利用、アウトソーシングクラウドサービスの利用などが該当する。
リスク共有のイメージ画像

リスクとは、将来発生する可能性のある好ましくない事象、およびその発生確率や損害の大きさを指す概念である。組織のリスクマネジメントでは、事業活動に伴う様々なリスクを識別し評価した上で、リスク回避リスク低減リスク受容といった対応策の中からどれを選ぶかを検討する。リスク共有は対応策の一類型であり、リスクを単独で抱え込むのではなく、複数の主体で分担する。

リスク共有の具体例としては、複数の企業が出資比率に応じて損益を分担する合弁事業や共同出資、設備や施設の共同利用、業務委託によるアウトソーシングクラウドサービスの利用などがある。これらはいずれも、自社単独で抱えていたリスクを契約関係にある相手と分かち合う仕組みである。

リスク共有はリスクの完全な移転を意味するものではなく、複数の主体が条件に応じて負担を分かち合う構造を指す。合弁事業であれば出資比率に応じて損益を分担し、業務委託やクラウド利用であれば対価の支払いを条件に運用上の不確実性を外部の事業パートナーと分け合う。この観点からすると、火災保険や損害保険への加入は、損害発生時の金銭的負担を保険会社に移すため、通常は「リスク移転」に分類される。

リスク共有を検討する際は、データセンターの地理的な分散配置や調達先の複数化といった対策と区別することが重要である。これらは損失の引き受け手を増やすのではなく、リスク要因や被害そのものを分割して小さく抑える対応であり、分類としては「リスク低減」(リスク軽減)に該当する。リスク共有が「誰と負担を分かつか」という主体の関係性に着目する概念であるのに対し、リスク低減は「リスク要因をいかに小さくするか」という対象の分割に着目する概念であり、両者は捉える側面が異なっている。

(2026.6.19更新)

資格試験などの「リスク共有」の出題履歴

▼ ITパスポート試験
令6 問64】 情報セキュリティのリスクマネジメントにおけるリスクへの対応を、リスク共有、リスク回避、リスク保有及びリスク低減の四つに分類するとき、リスク共有の例として適切なものはどれか。
令5 問72】 情報セキュリティのリスクマネジメントにおけるリスク対応を、リスク回避、リスク共有、リスク低減及びリスク保有の四つに分類したとき、リスク共有の説明として、適切なものはどれか。
令4 問76】 情報セキュリティのリスクマネジメントにおけるリスク対応を、リスク回避、リスク共有、リスク低滅及びリスク保有の四つに分類するとき、情報漏えい発生時の損害に備えてサイバー保険に入ることはどれに分類されるか。
▼ 基本情報技術者試験
平27修1 問39】 リスク共有(リスク移転)に該当するものはどれか。
平25秋 問39】 リスク共有(リスク移転)に該当するものはどれか。
平22秋 問43】 リスク移転に該当するものはどれか。
この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。