リスクファイナンス【risk finance】リスクファイナンシング/risk financing
概要

企業活動には火災や事故、自然災害、訴訟、システム障害など様々なリスクが伴う。これらが現実の事象となった場合、企業は復旧費用や損害賠償、売上減少などの金銭的損失を被ることになる。
リスクファイナンスは、こうした損失発生時に資金面で対応できるように備える様々な方策を総称する概念である。発生確率や損失額の大小を踏まえ、適切な手法を選択することが求められる。
リスクファイナンスは大きく「リスク保有」と「リスク移転」に分かれる。リスク保有は、損失が発生した場合に自社でその負担を引き受ける方法で、積立金や準備金、引当金、借入金などをあらかじめ用意しておく。想定される損失額が比較的小さく、保険料などの対価を支払うより自己負担の方が合理的と判断される場合に選択されることが多い。損失額が極めて大きい場合は経営危機を招く場合がある。
リスク移転は、契約に基づいてリスクの一部または全部を他者に移す方法である。一定の対価を支払う代わりに、リスクが顕在化した際の損失を肩代わりしてもらう仕組みで、保険契約がその典型である。火災保険では、毎月一定額の保険料を支払うことで、実際に火災が発生した際に保険金を受け取り、損失を補填できる。このほか、取引先との責任分担や再保険、デリバティブ技術を用いた天候デリバティブ、自然災害などの大規模リスクを引き受けるキャプティブ(自家保険会社)の活用といった、保険加入以外の手段でリスクを移転する手法も存在する。
リスクファイナンスは、リスクの発生そのものを防ぐ「リスクコントロール」と対をなす概念である。リスクコントロールは防犯カメラの設置やシステムの冗長化など、発生確率や被害規模を抑え込む方策を意味する。リスクファイナンスはそれでも防ぎきれずに残った財務的な結果への対処に主眼を置く。両者を組み合わせることで企業はリスクへの耐性を総合的に高めることができる。