ファストトラッキング【fast tracking】
ファストトラッキングとは?
プロジェクト管理で工期を短縮する手法の一つで、本来は順番に実施する予定だった工程を部分的または全面的に並行して進めること。工期の遅延を挽回する場面や、納期を前倒しする必要が生じた場面で採用されることが多い。

通常のプロジェクト計画では、前工程が完了してから次工程に着手する逐次的な進め方が基本となる。ファストトラッキングではこの順序を崩し、前工程で作業が済んだ成果物を活用しながら次工程をできるところまで先行させる。
例えば、システム設計が完全に完成するのを待たずに、確定した部分から先行してプログラミングを開始するような進め方が該当する。前後の工程の部署や担当者が異なっていれば追加の人員や予算を投入せずに期間を縮められるため、他の手法に比べて選択されやすい。
一方、前工程が未確定の状態で後工程を動かすため、手戻りのリスクが生じる。前工程に重大な変更が発生した場合、並行して進めていた後工程の成果物を修正・破棄せざるを得ない事態になる。また、本来順番に行う工程を並行で進めるため、人員の配置が変更になる場合があり、負担が増大する場合がある。前後の連携が円滑に進まないと混乱が生じることもある。リスクを抑えるには、工程間の依存関係を正確に把握し、変更発生時に関係者間で迅速に情報共有できる体制が必要である。
類似の手法に「クラッシング」(crashing)がある。クラッシングは人員追加や設備増強によって作業期間を短縮するのに対し、ファストトラッキングは工程の重なり方を見直して期間を縮める。前者がコストを引き受けてリスクを抑えるのに対し、後者はコストを据え置いたままリスクを引き受けるという違いがある。両者はPMBOKにおいても代表的なスケジュール圧縮技法として紹介されている。
(2026.5.24更新)
関連用語
他の辞典等による「ファストトラッキング」の解説 (外部サイト)
資格試験などの「ファストトラッキング」の出題履歴
▼ ITパスポート試験
【平21秋 問51】 プロジェクトのスケジュールを短縮する方法について説明したものはどれか。
▼ 基本情報技術者試験
【平30修12 問53】 工期を短縮させるために,クリティカルパス上の作業に “ファストトラッキング” 技法を適用した対策はどれか。
【平27修1 問54】 ファストトラッキング技法を用いてスケジュールの短縮を行う。当初の計画は図1のとおりである。作業Eを作業E1,E2,E3に分けて,図2のように計画を変更すると,スケジュールは全体で何日短縮できるか。
【平23春 問51】 ファストトラッキング技法を用いてスケジュールの短縮を行う。当初の計画は図1のとおりである。作業Eを作業E1,E2,E3に分けて,図2のように計画を変更すると,スケジュールは全体で何日短縮できるか。