スイッチングハブ 【switching hub】

概要

スイッチングハブ(switching hub)とは、有線ネットワークの中継装置の一つで、受け取ったデータを接続されたすべての機器に転送せず、宛先などを見て関係する機器のみを選んで送信する機能を持ったもの。

複数の機器とケーブルで接続し、互いの送信したデータを中継・転送する装置は「ハブ」(hub)と総称されるが、初期の単純な機構の「リピータハブ」(repeating hub)は、あるポートが受信した電気信号を単純にそのまま電気的にすべてのポートに向けて再送信する。

一方、スイッチングハブは受信した信号をデータとして内部の半導体メモリに一旦記録し、制御部を解析して宛先を特定する。その後、接続された他の機器の中からそのデータの関係先にだけ再送信する。これにより、ケーブルを無駄な信号が行き来したり複数の機器の信号が衝突するのを防止することができ、伝送効率を高めることができる。

転送先の判断は、通信方式の階層化モデルでいう第2層(リンク層/データリンク層)の制御情報であるMACアドレスなどに基づいて行われることから、「L2スイッチ」「レイヤ2スイッチ」(L2SW:layer 2 switch)とも呼ばれる。ネットワーク間の接続・中継のための装置は「ブリッジ」(bridge)とも呼ばれる。

電気的に信号を中継するのではなくデータを蓄えて再送信するため、10BASE-T(10Mbps)と100BASE-TX(100Mbps)、100BASE-TX1000BASE-T(1Gbps)など、通信速度の異なる機器やネットワークの間を中継することができるというメリットもある。

スイッチングハブ同士をケーブルで接続することで双方のネットワークを相互接続することができ、ネットワークを拡張することができる。これを「カスケード接続」という。業務用の製品では何段階も複雑に接続したときにループ経路を検知して迂回するスパニングツリー機能に対応しているものもある。

(2024.3.5更新)

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この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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