ペイロード 【payload】
概要
ペイロード(payload)とは、有料荷重、有効搭載量、最大積載量、積載物などの意味を持つ英単語。ネットワーク分野では、パケットやデータグラムなどのデータの送受信単位のうち、宛先などの制御情報を除いた、相手に送り届けようとしている正味のデータ本体のことをペイロードという。現代の通信システムでは、データをパケットやデータグラム、フレームなどの一定の長さの送受信単位に分割してそれぞれ伝送する。これは先頭部分が制御情報を記したヘッダ部、続けてペイロード、必要に応じて末尾にパディングという構成になっている。パティングは全体の長さを特定の数の倍数に合わせるための「詰め物」となる無意味なデータである。
小包に例えると、ヘッダやパディングは箱や送り状、梱包材などにあたり、相手に送りたい荷物の本体がペイロードにあたる。プロトコルによってはペイロードにあたる部分を「ボディ」(body)と呼ぶこともある。
文脈により、「ペイロード」という語がデータ自体のことを指す場合と、データの長さや最大長を意味する場合がある。ペイロードをデータ自体とする場合は、長さを「ペイロード長」(payload length)、最大長を「最大ペイロード長」(maximum payload length)というように呼ぶ。
ネットワークプロトコルは機能に応じて階層構造を形成しており、下位プロトコルの送受信単位のペイロードに上位プロトコルの送受信単位が積載されるという入れ子構造になっている。例えば、イーサネットフレームのペイロードにはIPデータグラムが格納され、そのペイロードにTCPセグメントが格納され、そのペイロードにHTTPメッセージが格納されるといった多重の入れ子でデータが伝達される。
マルウェアのペイロード
なお、サイバーセキュリティ分野では、コンピュータウイルスやワームなどのマルウェアに含まれる、悪意のある行為を実行するプログラムコードをペイロードと呼ぶことがある。データの盗難や破壊など、何らかの被害を生じさせる行動を起こす箇所を指す。これ以外の、自身を拡散・複製させるコードや、利用者やセキュリティソフト欺く挙動を行う部分などのことは「オーバーヘッド」と呼ぶ。
関連用語
他の辞典による解説 (外部サイト)
この記事を参照している文書など (外部サイト)
- 東京地方裁判所「平成21年(ワ)第8390号 特許権侵害差止等請求事件 判決」(PDFファイル)にて引用 (2011年8月)