MPLS 【Multi-Protocol Label Switching】 マルチプロトコルラベルスイッチング
概要
MPLS(Multi-Protocol Label Switching)とは、特定のネットワーク内でラベルと呼ばれる短い符号をパケットなどに付与することで高速に転送処理を行う技術。IETFによってRFC 3031などとして標準化されている。通常、インターネットなどのTCP/IPネットワーク上では、ルータがIPパケットを転送する際に先頭のIPヘッダ部を参照して宛先IPアドレスなどを確認し、手元の経路表などと突き合わせて次の転送先を決定、送信する。
MPLSでは各パケットにそのネットワーク内のみで通用する4バイトのラベルと呼ばれる短いデータを付与し、これに基づいてルータ間を高速に転送する。ラベルは外部からネットワークに入る際に接続点にあるLER(Label Edge Router)によって付与され、別の接続点から外に出る際にLERによって除去される。
ネットワーク内のルータはMPLSによる転送に対応したLSR(Label Switching Router)によって構成され、ラベル情報はLDP(Label Distribution Protocol)やRSVP(Resource Reservation Protocol)などのプロトコルで各LSRに配信される。
MPLSは主に通信事業者やインターネットサービスプロバイダ(ISP)などのネットワーク事業者が自社ネットワーク内で高速にパケット転送を行うために利用していた。現在では転送の高速化という意義は薄れたが、異なるIPネットワークをラベルによって区別することで一つのネットワーク内に同居させるIP-VPNとして利用されたり、通信の種類による優先度(QoS:Quality of Service)の制御、障害発生時の迂回経路の形成などに応用されている。
GMPLS (Generalized MPLS)
MPLSの仕組みをイーサネット(Ethernet)スイッチや光ネットワーク上の交換機などにおける転送制御に応用した仕様をGMPLSという。
MPLSではIPルータ間でIPパケットの転送を制御する手法を定めたが、ラベルによる転送経路の識別や制御をより低い階層のEthernetフレームや光通信の波長といった単位で実現する。
ラベル情報の配信や設定はIP層の情報に基づいて行われるが、転送制御はL2(第2層)レベルで行われる。これにより、光信号を電気信号に変換して内部のデータを解析するといったオーバーヘッドを省いて高速に転送を行うことができる。