プロトコル 【protocol】 通信規約 / 通信プロトコル / communication protocol / ネットワークプロトコル / network protocol / 通信手順

概要

プロトコル(protocol)とは、手順、手続き、外交儀礼、議定書、協定などの意味を持つ英単語。IT分野では、複数の主体が滞りなく信号やデータ、情報を相互に伝送できるように定められた約束事や手順である「通信プロトコル」を指すことが多い。

コンピュータ内部で回路や装置の間で信号を送受信する際や、通信回線やネットワークを介してコンピュータや通信機器がデータを送受信する際に、それぞれの分野で定められたプロトコルを用いて通信を行う。英語しか使えない人と日本語しか使えない人では会話ができないように、対応しているプロトコルが異なると通信することができない。

機器やソフトウェアの開発元が独自に仕様を策定し、自社製品のみで使用されるクローズドなプロトコルと、業界団体や標準化機関などが仕様を標準化して公開し、異なる開発主体の製品間で横断的に使用できるオープンなプロトコルがある。インターネットなどで用いられるプロトコルの多くは、IETF(Internet Engineering Task Force)などが公開している標準プロトコルである。

プロトコルの階層化

プロトコルのイメージ画像

人間同士が意思疎通を行う場合に、どの言語を使うか(日本語か英語か)、どんな媒体を使って伝達するか(電話か手紙か)、というように伝達の仕方をいくつかの異なる階層に分けて考えることができる。データ通信においても、プロトコルの役割を複数の階層に分けて考える。

階層化することによって、上位のプロトコル(を実装したソフトウェア)は、自分のすぐ下のプロトコルの使い方(インターフェース)さえ知っていれば、それより下で何が起きているかを気にせずに通信を行うことができる。電話機の操作法さえ知っていれば、地中の通信ケーブルや通信会社の施設で何が起きているか知らなくても通話できるのに似ている。

各階層のプロトコル群の機能や役割の範囲はモデル化して整理することがある。現在広く普及しているのはインターネットなどで用いられるIP(Internet Protocol)を中心とした「TCP/IP階層モデル」(DARPAモデル)だが、OSI基本参照モデルなど他のモデルで考えることもある。

TCP/IP階層モデル

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TCP/IP階層モデルでは、物理的な装置や伝送媒体に近い側から順に「リンク層」(ネットワークアクセス層ネットワークインターフェース層とも呼ばれる)「インターネット層」「トランスポート層」「アプリケーション層」の4階層に分類している。

OSIモデルではリンク層が「物理層」と「データリンク層」に分かれているが、IPはインターネット層にあたり、IPによって運ばれるデータ(上位階層のプロトコル)が主な関心事であるため、リンク層以下の詳細には立ち入らず、詳細なモデル化も行っていない。

インターネット層は、複数の異なる種類の物理ネットワーク同士を結びつけ、全体を一つの論理的なネットワークとして相互に通信可能な状態にする。IPそのものに加え、上位プロトコルのデータを伝送しない制御用のプロトコルが含まれる。ICMPやIGMP、IPsec、NDPなどである。

トランスポート層はIPデータグラムペイロード部によって運ばれるプロトコルで、上位のアプリケーション層のデータの伝送に用いられる。ほとんどの場合、高信頼性のTCPか、高速なUDPのいずれかが使われるが、用途によってはQUICSCTPなど他のプロトコルが選択されることもある。

アプリケーション層は個別の用途やソフトウェア、サービスのために設計されたプロトコルである。Web通信のためのHTTP、電子メールを送受信するためのSMTPやPOP3、IMAP4、ドメイン名とIPアドレスの対応関係を問い合わせるDNS、ファイルを送受信するFTP、時刻合わせを行うNTP、遠隔のコンピュータを安全に操作するSSHなど多種多様なプロトコルが規定されている。

(2025.9.7更新)
ネットワーク

資格試験などの「プロトコル」の出題履歴

ITパスポート試験 : 平28秋 問65 平27秋 問77 平25秋 問65 平23秋 問77 平21秋 問69
基本情報技術者試験 : 令7修1 問26 平30修6 問35

他の用語辞典による「プロトコル」の解説 (外部サイト)