PSTN 【Public Switched Telephone Networks】 公衆交換電話網 / GSTN / General Switched Telephone Networks
概要
PSTN(Public Switched Telephone Networks)とは、通信事業者の施設から各加入者宅まで通信回線を引き込み、回線交換方式の音声通話サービスを提供する公衆回線網のこと。一般から広く加入・接続を受け付ける公衆網の一種で、街中の地中や空中に固定的に敷設されたメタル回線(銅回線)で電話局と加入者宅を結び、加入者間でアナログ伝送の音声通話を利用することができる。データ通信を行う場合は回線の末端に信号の変復調装置(モデム)を繋ぎ、デジタルデータを音声信号に変換して伝送する。
各加入者には電話番号が割り当てられ、電話局に接続したい相手の番号を伝えることで先方までの間の通信線路を一時的に占有し、双方向に音声信号を伝送する。このような接続方式を回線交換方式という。初期には局舎の交換手が番号を聞いて手動で取次を行っていたが、交換機の導入により自動化され、電話機で番号を指示(ダイヤルあるいはプッシュ)すると相手方を呼び出すことができるようになった。
日本では1890年に当時の逓信省が東京-横浜間に回線を敷設して約200の加入者間で電話交換業務を開始したのが始まりで、国営事業として全国津々浦々まで回線網が整備されていった。1952年には新たに設立された国有企業の日本電信電話公社(電電公社)に引き継がれ、同社は1985年に日本電信電話株式会社(NTT)として民営された。
1980年代には固定系のPSTNに対し無線による公衆網である移動体通信網が登場し、携帯電話サービスとして普及していった。固定系の公衆網も低周波数のアナログ信号のみを扱うPSTNからデジタル化された次世代の方式が構想され、一時はISDNの整備が促進されたが、2000年代に入り光ファイバー網(FTTH)でPSTNを全面的に置き換える方向性が確立された。
POTS (Plain Old Telephone Service)
電話回線を通じて古くから使われているアナログ信号による音声通話サービスを、データ通信など後から登場した多様な通信サービスと対比する文脈でPOTS(ポッツ)ということがある。
電話番号で指定した相手に回線交換方式で接続し、音声を3.4kHzのアナログ電気信号として銅線などでできた回線に流して通話するもので、電話会社が敷設・運用している公衆交換電話網(PSTN:Public Switched Telephone Network)を通じて提供されてきたもの。
近年ではPOTSにキャッチホンや転送電話のような付加サービスが提供されているほか、電話回線にPOTSとは別に高い周波数の信号を重畳してデータ通信を行うADSLなどの通信サービスが提供されることがある。また、アナログ電話回線に代わりISDN回線や光ファイバー回線が敷設されることがあるが、通信会社はそれらを用いた通信サービスの一部としてPOTSも利用できるようにしていることが多い。