SAS 【Statistical Analysis System】
概要
SAS(Statistical Analysis System)とは、データ解析や統計分析、解析結果の可視化などを行うことができるパッケージソフトの一つ。米SASインスティテュート(SAS Institute)社が開発・販売している製品で、これを中心とするソフトウェア製品群のブランド名でもある。同社自身を指してSASと略すこともある。世界的に人気の高い統計解析ソフトウェアで、データベースや表計算ソフトのスプレッドシートなどに蓄積されたデータを取り出し、統計的手法をはじめとする様々な解析手法を用いて分析し、結果を表やグラフなどで表すことができる。
SAS言語(SAS Language)と呼ばれるプログラミング言語でデータの読み込みや整形、解析、出力などの手順を記述し、これを実行することでデータ解析を行う。グラフィカルな操作画面(GUI)で解析手順を指示するとコードが自動出力される機能があり、プログラムを直に記述しなくても大抵の操作は行うことができる。
単体のソフトウェア製品の提供だけでなく、ソフトウェアの機能をインターネットを通じて利用できるSaaS型のクラウドサービス「SAS Cloud」や、Microsoft Azure上で同社のいくつかの製品を利用できる「SAS on Azure」シリーズなども提供している。
同じ分野の競合製品として、米IBM社の「SPSS」とよく比較されるほか、オープンソースの「R言語」やプログラミング言語の「Python」などもデータ解析環境の一種として引き合いに出されることが多い。
歴史
最初のバージョンは1960年代に開発され、米NASAがアポロ計画に採用したことなどから有名となり、1970年代から主に大学や研究所などで科学・工学分野の学術研究に用いられてきた。
1990代頃からはビジネス向けの機能にも力を入れており、データマイニングやデータ統合、ビジネスインテリジェンス(BI)、マーケティング分析、リスク管理、機械学習などデータ処理に関する多様な製品群を提供している。
金融業向けや官公庁向け、小売業向けといった特定の業種、あるいは、マーケティング向けや情報セキュリティ向け、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)向け、QC(品質管理)向けといった特定の分野や対象に特化した製品も投入している。