FWA 【Fixed Wireless Access】 WLL / Wireless Local Loop / 固定無線アクセス

概要

FWA(Fixed Wireless Access)とは、無線通信規格の一つで、屋外の固定された機器間で広帯域通信が可能なもの。また、同規格を用いて通信事業者基地局と加入者宅を結ぶ加入者系データ通信サービスのこと。かつては「WLL」(Wirelss Local Loop)と呼ばれていた。

「準ミリ波帯」(22/26GHz)および「ミリ波帯」(38GHz)の電波を用い、指向性の電波を用いて一対一に結ぶP-P方式(Point-to-Point)では最長4kmを最高156Mbpsで結び、基地局が複数の相手と通信するP-MP方式(Point-To-Multipoint)では最長1kmを最高46Mbpsで結ぶ。いずれも基地局→加入者方向とその逆が同じ速度の上下対称な通信が可能。

この周波数帯電波は障害物に弱いため、アンテナ同士が見通せる位置にある必要があり、地形の起伏の大きい中山間部や高層ビルの多い大都市中心部などでは通信エリア内でも利用できないことがある。

通信サービス

FWAによる通信サービスは1999年に実用化され、P-P方式を利用した企業の拠点間接続サービスや、P-MP方式を利用したインターネット接続サービスなどが提供された。

当時の専用線接続に比べ高速で安価な上下対称速度のインターネット接続サービスとして大都市部の企業で利用されたほか、人口密度が低くアナログ回線の線路長などの問題からADSLなどの高速通信サービスの利用が困難な地域で高速インターネット接続サービスとして普及した。

都市部ではその後すぐに光ファイバー網(FTTH)の普及が本格化したため数年で利用者数が頭打ちとなり、2010年代までには各事業者とも順次サービス終了となったが、後者の用途では現在も一部の自治体で利用されている。

FWAという名称

FWAは当初は特定の通信方式とその応用サービスを指していたが、現在では事業者が独自開発した通信方式やサービス、および、後発の固定系無線通信方式である「WiMAX」や「BWA」(Broadband Wireless Access)などを包含する総称として用いる場合がある。近年では移動体通信規格の「5G」を固定系通信に用いることを指して「5G FWA」と呼ぶようになっている。

(2024.3.30更新)

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この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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