スプリッタ【splitter】
概要

電話回線側から届いた信号は受信時に二つに分けられ、4kHz以下の低周波成分は電話機やファクシミリへ、数百kHz以上の高周波成分はADSLモデムへとそれぞれ送られる。送信時にはその逆で、電話機からの低周波信号とモデムからの高周波信号を合成して回線側へ送り出す。この処理により、通話音声へのノイズ混入やモデムの通信障害を防いでいる。
ADSLをはじめとするxDSL技術は、公衆交換電話網が音声通話のために使用してきた4kHz以下の周波数帯と、データ通信用の高周波帯が重複しない性質を利用したものである。両帯域の境界にはガードバンドが設けられ、フィルタ特性と合わせて相互干渉を低減している。スプリッタはADSLモデムとセットで宅内に設置されるほか、局舎側にも同等の装置が置かれ、DSLAM(DSL集線装置)との間で同様の信号処理が行われる。
宅内の設置形態としては、電話回線の引込点付近にまとめて設ける集中型と、各電話機に個別のマイクロフィルタを取り付ける分散型がある。集中型は宅内配線全体をカバーできる一方、分散型はスプリッタ本体を必要とせず機器ごとに対応できる柔軟さがある。いずれも誤接続や配線の状態によって通話雑音やリンクの不安定さが生じることがあり、設置環境への配慮が求められる。
光ファイバー回線(FTTH)が主流となった現在では、インターネット接続と音声通話が最初から別系統で提供されるか光回線に統合されるため、一般家庭でスプリッタが新たに導入される機会は少なくなっている。ただし、VDSL方式で用いられる集合住宅の既設メタル回線を利用した通信設備や、アナログ回線網を維持する産業用途では、引き続き使用される場合がある。
(2026.6.19更新)