パソコン通信 【online service】
概要
パソコン通信(online service)とは、ホストと呼ばれるコンピュータシステムを介してパソコン間でデータの送受信ができる会員制の通信サービス。電子掲示板(BBS)や電子メールなどのサービスが利用できた。主催者は会員からの接続を受け付けてデータを保管するホスト局を開設する。会員は電話回線でホストにダイヤルアップ接続し、データの送受信を行う。音声通話用のアナログ電話回線でデータ通信を行うため、音響カプラやアナログモデムなどの装置を介する必要があった。
通信はホスト局と会員のパソコンの間で行われ、他の会員のパソコンと直接通信することはできない。各サービスは原則として独立に運営され、大手サービス間の限定的な連絡サービスを除いてホスト間は相互接続されていなかった。
通信手順(プロトコル)やデータ形式も標準化されておらず、ホストプログラムごとに独自仕様だったが、原則としてテキストデータを交換する仕組みとなっており、画像ファイルなどのバイナリデータはテキスト化して送受信する仕組みが整えられた。
提供されるサービスはホストによって異なるが、会員の書き込みを時系列に表示する電子掲示板(BBS)や、会員間で文字メッセージを交換する電子メール、フリーソフトや画像などを共有・交換するファイルアーカイブ、複数の会員がリアルタイムにメッセージを送り合うチャットなど提供された。これらをテーマごとに組み合わせた「フォーラム」「SIG」(Special Interest Group)などが用意されることもあった。
企業が主催する商用(たいていは有料)のものと個人主催のものがあり、規模も数百万人の大規模なものから、数人のサークル内での情報交換に使われるプライベートなものまで、様々である。日本では富士通・日商岩井の合弁(当時)の「NIFTY SERVE」とNECの「PC-VAN」の2大ネットがそれぞれ約200万人の会員を集め、活況を呈した。
1980年代初頭に現れたサービスで、1985年の規制緩和を契機にホストを主催する個人や企業が増えて本格的に普及し始めた。1990年代中頃に最盛期を迎え数百万人が利用するようになったが、インターネットの一般家庭への普及が始まるとパソコン通信は急激に衰退、2000年代前半にはほとんどのサービスが終了した。