RFC 【Request For Comments】

概要

RFC(Request For Comments)とは、インターネット技術の標準化などをIETF(Internet Engineering Task Force)が発行している、技術仕様などについての文書群。TCP/IP関連のプロトコル(通信規約)の標準仕様などが記されたもので、インターネット上で公開されており誰でも入手・閲覧することができる。

各文書には「Hypertext Transfer Protocol -- HTTP/1.1」といった表題が付けられているが、通常は「RFC 2616」といったように割り当てられた通し番号によって識別・表記されることが多い。最新のRFCは9000番代であり、現在までに9000以上の技術文書が公開されていることになる。

同じ技術の仕様を定義したRFCが複数あることもあるが、バージョン番号を変えて新規に発行される場合と、古いRFCを無効にして置き換える場合があり、後者の場合には文書の冒頭に「Obsoletes: XXXX」(RFC XXXXを廃止する)といったようにどのRFCを置き換えるかを示す。

また、旧版の冒頭には文書本体とは別の注記として「Obsoleted by: YYYY」(RFC YYYYによって廃止された)と表示される。複雑な技術では複数のRFCにまたがって仕様が記述される場合もある。

RFCの草稿はまずインターネットドラフト(I-D:Internet Draft)として起草され、この段階ではまだ番号は与えられない。関係者による検討と改訂を経てRFCへの登録が決まると、まず「Proposed Standard」(標準提案)と呼ばれる状態で公開される。

議論を経て標準化が完了すると、「Internet Standard」(インターネット標準)となる。かつては両段階の中間として「Draft Standard」(標準原案)が存在したが廃止された。インターネット標準となるのは既に多数の実装や運用実績が存在する場合である。

技術仕様の標準を定めたRFC以外にも、広く知らしめるべきと判断された情報を掲載する「Informational」、実験的な内容を掲載する「Experimental」、実務上必要な運用情報などのうち推奨事項をまとめた「Best Current Practice」(BCP)、古くなった歴史的な内容であることを意味する「Historic」などの種類がある。

最初のRFCは1968年に発行され、当初はその名(“Request For Comments”は直訳すれば「コメント募集」である)の通り、関係者の意見を募集するための叩き台として発表される文書としての意味合いが強かったが、インターネット標準に関わる人や機関が増えていくに従い、次第に検討が済んで定まった内容を発行する場となっていった。

(2018.8.15更新)

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この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。
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