TOC 【Theory Of Constraints】 制約条件の理論
概要
TOC(Theory Of Constraints)とは、作業工程の能率を向上させる手法の一つで、一連の工程全体の中で隘路(ボトルネック)になっている箇所を探し出し、集中的に改善する方式。複数の要素や工程で構成される活動で、工程間に能力のバラつきがある場合、活動全体の成果は最も能力の弱い要素の成果を超えることはできない。この工程全体で最も能力が劣っている箇所を「制約」(constraint)と呼び、その改善に集中することで全体の成果を増大させるのがTOCの考え方である。
TOCに基づく全体最適化では、まず工程ごとの能力を測定して制約を特定する。制約以外の工程や要素(「非制約」と呼ぶ)は、制約の能力を超える仕事をしても無駄にコストを浪費するだけ(部品在庫が増えてゆくなど)なので、制約に合わせて活動を抑える。その後、制約の改善に資源を集中し、その能力を底上げする。
制約の改善が進むと非制約の能力を超え、別の箇所が新たな制約になる場合がある。その場合は再び最適化を実施し、新たな制約の能力を引き上げることに集中する。実用上は、各工程のスループットを継続的な監視し、定期的に制約箇所を調査して見直す反復的なプロセスの導入が必要となる。
TOCはイスラエルの物理学者、エリヤフ・ゴールドラット(Eliyahu M. Goldratt)氏が小説“The Goal”(邦題:ザ・ゴール - 企業の究極の目的とは何か)で提唱したもので、主に企業の生産活動の効率化などに応用された。
(2020.8.18更新)