ファイル共有ソフト 【file sharing software】 ファイル交換ソフト / file exchange software / P2Pソフト / peer to peer software

概要

ファイル共有ソフト(file sharing software)とは、ネットワークを介してコンピュータ間でファイルを共有する機能を持ったソフトウェア。狭義にはインターネット上で他のコンピュータを直に探索・接続し、不特定多数の集団内で相互にファイルの交換を行うことができるP2P(Peer-to-Peer)方式のものを指し、こちらの意味が一般に広まっている。

一般的なインターネット上のシステムではコンピュータやソフトウェアの役割はサーバとクライアントに分かれており、ネット上に固定的に設置され常時運用されるサーバに対してクライアントがファイルの送信や受信を要求するという形で利用される。

これに対し、P2P型のファイル共有ソフトではこのような役割の違いがなく、すべてのコンピュータが同じソフトウェアで動作する他のコンピュータに対して対等に接続し、相互に送信や受信を要求しあえるようになっている。常にネットに繋がっているわけではない個人利用のパソコン同士が互いに保存されているファイル群を交換することができる。

厳密には、「同じソフトを使っている相手を探す」機能のみを提供するサーバを必要とし、そのサーバに登録した者同士が接続してファイルの交換は相対で行う中央サーバ型のシステムが多いが、このような集会場のようなサーバすら不要で、まったく同機能で対等なコンピュータの集団でネットワークを形成する純粋P2P(ピュアP2P)型のシステムもある。

歴史

ファイル共有ソフトは1999年にMP3ファイルの交換に特化した「Napster」(ナップスター)の誕生と急激な普及により注目を集め、ファイルの種類を限定しない汎用で純粋P2P型「Gnutella」(グヌーテラ)など多くの類似ソフトが広まった。

日本ではNapster互換ソフトから派生した「WinMX」(ウィンエムエックス)が2001年から、続いて2002年から「Winny」(ウィニー)が、2004年から「Share」(シェア)が急激に普及し、他にも多くのファイル共有ソフトが広まった。

初期のファイル共有ソフトは匿名性が高く、日本を含む全世界で音楽や映像、ソフトウェアなどの著作物の違法(海賊版)な配布や交換、および、法律で作成や配布(国によっては所持も)が禁じられたコンテンツの流通に悪用され、訴訟や摘発が相次いだ。各国司法当局の監視や摘発が進んだこともあり、2010年代になると違法行為のプラットフォームのように用いられていたファイル交換ネットワークの利用は下火になった。

一方、オープンソースソフトウェアなど自由に複製してよいファイルを低コストで効率的に配布・流通できる手段としての技術的な可能性に着目した人々もおり、BitTorrentのようにあえて匿名性を奪うことで合法的な利用を促すようにしたシステムは現在も広く受け入れられている。

(2018.11.16更新)

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この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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