DNS 【Domain Name System】 ドメインネームシステム

概要

DNS(Domain Name System)とは、インターネットなどのIPネットワーク上でドメイン名(ホスト名)とIPアドレスの対応関係を管理するシステム利用者が単なる番号列であるIPアドレスではなく、日常使っている言語の文字を組み合わせた認識しやすいドメイン名ネットワーク上の資源にアクセスできるようにする。

IPネットワークでは「IPアドレス」と呼ばれる数値列で個々のコンピュータネットワークを識別するが、DNSを使えば人間にとって親しみやすい文字や記号を組み合わせて「ドメイン名」(domain name)と呼ばれる別名をつけることができる。ドメイン名が単一の機器を指し示す場合は「ホスト名」(host name)とも呼ばれる。

ドメイン名について、ホスト名IPアドレスの対応関係や管理情報などを記録し、一定の通信手順に基づいてどこからでも容易に参照できるようにした世界規模の分散型データベースがDNSである。そのための通信規約プロトコル)や交換データ形式などの仕様を定めた標準規格のこともDNSという。

IPアドレスとドメイン名

例えば、ある企業が「198.51.100.1」というIPアドレスの割り当てを受けてWebサーバ電子メールサーバ運用する場合、WebサイトURLは「https://198.51.100.1/」のように、代表メールアドレスは「info@198.51.100.1」のような表記になる。

これは人間にとっては覚えたり伝達したり入力したりしにくく、接続事業者を切り替えるなどしてIPアドレスが替わるとこれらのアドレスもすべて変更となり、記録物を書き直したり関係者に改めて通知・告知しなおさなければならなくなってしまう。

そこで、「example.co.jp」というドメイン名を取得し、ホスト名として「www.example.co.jp」を「198.51.100.1」に、「~@example.co.jp」のメールアドレスを管理するメールサーバアドレスを「198.51.100.1」に対応付けておけば、Webサイトを「https://www.example.co.jp/」のように、メールアドレスを「info@example.co.jp」のように表記することができるようになる。

DNSサーバとクライアント

ドメイン名情報を管理し、外部からの問い合わせに応答するコンピュータソフトウェアのことを「DNSサーバ」(DNS server)、サーバへの問い合わせをいDNS情報を参照・利用する側のコンピュータソフトウェアを「DNSクライアント」(DNS client)あるいは「DNSリゾルバ」(DNS resolver)という。

ドメイン名IPアドレスの対応関係をサーバへの問い合わせによって明らかにすることを「名前解決」(name resolution)と呼び、ドメイン名から対応するIPアドレスを求めることを「正引き」(forward lookup)、逆にIPアドレスからドメイン名を割り出すことを「逆引き」(reverse lookup)という。

ドメイン名の階層構造

ドメイン名は実世界の住所表示のように広い領域を指す名前から順に範囲を狭めていく階層構造になっており、「www.example.co.jp」のように各階層の識別名を「.」(ドット)で区切って表記する。あるドメイン名の配下に設けられた下位のドメイン名を「サブドメイン」(subdomain)という。

上の例の「jp」のように一番右が最上位階層の「トップレベルドメイン」(TLD)で、以下、左に向かって「co」を「セカンドレベルドメイン」(SLDSecond Level Domain)、「example」を「サードレベルドメイン」(3LDThird Level Domain)のように呼び、順に指し示す範囲が狭くなっていく。

権威DNSサーバと権限委譲

あるドメイン名についての情報を管理するDNSサーバを「権威DNSサーバ」あるいは「DNSコンテンツサーバ」という。権威サーバはそのドメイン名についての情報の発信元で、外部からの問い合わせに応答してホスト名に対応するIPアドレスなどを回答する。

上位ドメイン権威サーバは配下のすべてのドメイン名情報を一元管理しているわけではなく、下位ドメイン権威サーバに管理権限を委譲し、自身はその所在(IPアドレス)のみを把握している。下位ドメインについての問い合わせには「このアドレスサーバに聞くように」という回答を返す。

再帰問い合わせによる名前解決

www.example.co.jp」の名前解決うためには、まず全世界に十数か所あるDNS全体を統括する「ルートサーバ」(root server)に「jpドメイン権威サーバの所在を訪ね、そのサーバに「co.jpドメイン権威サーバの所在を訪ね、そのサーバに「example.co.jp」の権威サーバの所在を…という具合に左端のホスト名が解決されるまで問い合わせを再帰的に繰り返す必要がある。

この問い合わせ手順を末端のDNSクライアントが毎回行っていたのではサーバクライアント、途中のネットワークの負荷や無駄が大きすぎるため、通常はインターネット接続事業者ISP)などが用意した「DNSキャッシュサーバ」が各クライアントからの問い合わせを代行し、結果を一定期間保存して同じ問い合わせに代理で応答するという運用われる。

一般の利用者コンピュータネットワーク設定などで指定する「DNSサーバ」(プライマリDNSサーバセカンダリDNSサーバ)は、各ドメイン名を管理している権威サーバではなく、このDNSキャッシュサーバである。なお、キャッシュサーバに頼らずクライアントソフトが自ら再帰問い合わせをって名前解決することも差し支えなく、ネットワーク管理者などが調査のためにうことがある。

(2023.12.6更新)

DNS用語辞典

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この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。
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