デカップリング【decoupling】
デカップリングとは?
ソフトウェア設計におけるデカップリング
IT分野では、ソフトウェアの部品同士が深く依存しあう「密結合」の状態を解消する設計手法をデカップリングと呼ぶことがある。密結合のシステムでは、一か所を修正しただけで別の箇所にも不具合が波及しやすい。これを防ぐために、部品間のやり取りに標準的な窓口を設けて内部構造への依存を断ち切った「疎結合」の状態を目指す。
各機能を独立したサービスとして実装し、互いに連携しながらシステム全体を構成する「マイクロサービス」も、この発想を取り入れた設計手法である。保守性や拡張性の向上につながるため、クラウドや仮想化を活用した現代の大規模なシステム開発で採用されることがある。
デカップリングコンデンサ
電子回路の設計では、電源ラインに混入する電圧変動やノイズが他の部品へ伝わるのを防ぐために、電源とグラウンドの間に挿入するコンデンサを「デカップリングコンデンサ」あるいは「バイパスコンデンサ」という。このコンデンサが電力を一時的に蓄え、回路の動作に伴う電圧の乱れを吸収することで、周辺の回路への影響を遮断する仕組みである。
世界経済におけるデカップリング
経済の分野では、国家間あるいは経済圏間の相互依存を意図的に縮小させる政策や現象をデカップリングという。2010年代以降、米中間の技術・貿易摩擦が深まる中で特に注目を集めている。特定の国の製品や技術への依存度が高まると、供給網の途絶や安全保障上のリスクが生じる恐れがある。これを軽減するため、調達先の多元化や国内生産の強化といった形でデカップリングが推進されることがある。近年では中国リスクを意識して半導体や通信機器などの分野でこの動きが顕著である。
環境におけるデカップリング
環境・エネルギーの分野では、経済成長と温室効果ガスの排出量が連動しなくなる状態をデカップリングと呼ぶことがある。従来、経済規模の拡大はエネルギー消費量や排出量の増加を伴うのが一般的であった。しかし再生可能エネルギーの普及や省エネ技術の進展により、GDPが伸びても排出量が減少または横ばいにとどまる事例が各国で報告されるようになっている。環境負荷を増やさずに経済成長を続けるモデルへの転換を議論する際に、この概念が参照されている。
