バージョン 【version】
概要
バージョン(version)とは、版、型などの意味を持つ英単語。ITの分野では、ソフトウェアなどについて同名の製品の新旧を区別する番号や符号などをバージョンという。「リビジョン」「リリース」「ビルド」なども似た意味で用いられるが、これらがそれぞれ(修正の度合いの違いなどで)異なる意味合いで区別されたり併用される場合もある。ソフトウェア製品などは発売・公開された後に改良や修正を行い、以前とは異なる新版として改めて発行し直す場合がある。その際に、特定の版を他と区別するために番号やアルファベット、付加的な短い固有名などが与えられる。
バージョンをどのように付けるかは開発元によって異なり、統一された厳密な基準や規則などは無いが、よく用いられるのは「バージョン3.14」のように3~4桁程度の実数で表す方法である。上位桁ほど大きな更新を表し、整数部の値が増えると別の製品として再発売、再公開されることが多い。細かな修正や改善が行われると変更の大きさに応じて小数部の値が増加する。
派生版など単純な更新ではない場合は「バージョン3.3D」のように英字などを付加する場合がある。また、正式版の発行前に実質的に同じ内容のものを配布して利用者のもとで試用やテストを行う場合があり、アルファ版の場合は「1.0α」「1.0a」「1.0-alpha」のように、ベータ版の場合は「1.0β」「1.0b」「1.0-beta」のように表記される場合がある。
商用ソフトウェア製品などの場合、ブランディングや消費者にとっての分かりやすさなどのために「Windows 2000」のように発売年をバージョンとしたり、「Windows XP」「Windows Vista」のように短い固有の符号や名称を与えてバージョン名とする場合もある。その場合、技術的なバージョン番号が別に定められ、内部的なシステムの識別・同定などに利用される場合もある。例えば、Windows 2000は内部的にはWindows NT 5.0として扱われる。
バージョンアップ
製品を改良し、バージョンを更新、増加させることをバージョンアップという。和製英語であり、英語では一般的には “upgrade” という。
再発売などを伴う全面的な更新を「メジャーバージョンアップ」、小幅な改良や修正、欠陥の解消などを「マイナーバージョンアップ」という。これらも和製英語で、英語では前者を “upgrade”(アップグレード) 、後者を “update”(アップデート)などと言う。
エディションとの違い
書籍の「第1版」などの版のことは英語で “edision” (エディション)というが、ソフトウェア製品でエディションという場合はバージョンのような新旧の前後関係ではなく、同世代の製品について想定顧客や用途などで分かれたパッケージの区別を意味する。
例えば、同じソフトウェアの同じバージョンについて、家庭や個人利用者向けの「Home Edition」、ビジネス向けの「Business Edition」、大企業向けの「Enterprise Edition」といったように異なるパッケージが並行して提供される場合がある。それぞれの顧客のニーズや用途の違いに応じて、機能や価格、販売方式、サポート方式などが異なっている。