バックポート【backporting】
バックポートとは?

ソフトウェアは通常、バージョンアップによって機能追加や性能改善、仕様変更などが行われるが、実際の運用環境では、安定性や互換性、運用コストなどの理由から利用者がすぐに最新版へ移行できないことがある。特に、企業などの法人ユーザーでは、現在併用している他のソフトウェアとの相互運用性の検証などが必要な場合が多く、最新版の提供から採用までにタイムラグが生じやすい。
このため、最新版に実装された機能の一部や、特定の外部ソフトウェアとの互換性を確保するための改修を、旧バージョンでも動作するように調整して提供することがある。このような作業をバックポートと呼ぶ。バックポートでは、旧版のAPI仕様や内部構造に合わせてコードを修正する必要があるため、単純なコピーではなく、設計や実装の変更を伴うことも多い。
特に重要な用途として、セキュリティ修正や不具合修正のバックポートが挙げられる。最新版で発見された欠陥やセキュリティ上の脆弱性が旧版にも存在する場合、開発者や発行元は最新版向けに作成された修正パッチを旧版にも適用できるよう移植することがある。これにより、旧版の利用者も最新の更新を反映して安全に使い続けられる。
業務用ソフトウェアに多く見られる「長期サポート版」(LTS:Long Term Support)と呼ばれるバージョンでは、このようなバックポートによって、新機能を追加せずに安定性を維持しながら不具合修正やセキュリティ対策のみを継続的に提供することが一般的である。なお、利用者側から見ると、バックポート済みパッケージのバージョン番号が上流のバージョンとは異なる体系で管理されることがあるため、バージョン番号だけでは修正の適用状況を判断しにくい場合がある。