透過性 【transparency】 透過的 / transparent
概要
透過性(transparency)とは、物が光を通す性質。IT分野では、「透明で見えない」という意味から転じて、機能などが自動的に適用され、存在を意識しなくても良い性質を透過性ということがある。ソフトウェアの提供する機能などが設定により自動的に適用され、毎回いちいち指定したり設定しなくてもよいことを透過性ということがある。そのような様子を形容するときは「透過的な」「透過的に」と表現する。
例えば、通常、ファイルをデータ圧縮するには、圧縮ソフトに対象ファイルを指定して圧縮を指示する操作が必要で、圧縮済みファイルから内容を読み出したいときにも、対象の圧縮ファイルを指定して展開を指示する必要がある。
一方、オペレーティングシステム(OS)にディスク圧縮機能があれば、これを有効にするだけでファイル書き込み時に内容が自動的に圧縮され、読み込み時には自動的に展開される。利用者やアプリケーションは圧縮機能の存在を意識する必要はなく、明示的に指示や操作を行う必要もない。このような性質を透過性という。
プログラミングの分野では、式や関数が同じ要素で構成されていれば、出力は必ず同じになるという性質を「参照透過性」(referential transparency)という。宣言型言語や純粋関数型言語などが備える性質で、変数への値の再代入を禁止するなどの仕組みにより実現される。
なお、画像や動画の分野では、本来の語義通り、画像の一部が透明あるいは半透明になっており、背景色が透けて見える状態を透過という。透明色を一色だけ選択する方式と、完全な透明から完全な不透明まで段階的に透過度(transparency)あるいは不透明度(opacity)を指定できる方式がある。
(2024.7.23更新)