ブローカー【broker】
概要
ブローカーとは、仲介業者、仲買人、仲立人、仲介人などの意味を持つ英単語。売手と買手を引き合わせ、取引を仲介する事業者や職種などを指す。IT分野ではデータやサービスの流通を管理・調整する仕組みを意味することが多い。

IT分野におけるブローカーは、「仲介役」の概念をシステムやソフトウェアの構造に応用したものである。異なるプログラムや機器、システム間で発生するデータの送受信やサービス要求の処理を一元的に引き受け、中継・管理する機能を持つソフトウェアや仕組みを指す。システム全体の結合度を下げて構成を柔軟に保つことができ(疎結合化)、通信やデータ連携の信頼性を向上することができる。
メッセージの受け渡しを仲介する「メッセージブローカー」は、キューイングや配送順序の管理、再送制御などを行うことで、分散システムにおけるデータ送受信の信頼性を支えている。機能やサービスの利用要求を仲介する「サービスブローカー」は、クラウド環境やマイクロサービスの構成下で、複数のサービスを組み合わせる際の接続点として機能する。「データブローカー」は、異なるデータソース間でのデータ形式の変換や統合、アクセス制御などを仲介する。
ブローカーの導入は、複雑な分散システムにおいて、通信の標準化、ログの集中管理、セキュリティの適用といった集中管理機能を実現する上でも役に立つ。大規模なITシステムの拡張性と相互運用性を確保し、効率的なシステム運用を行う上での基盤的な要素として広く用いられている。
(2025.11.26更新)