ウィンドウシステム 【windowing system】
概要
ウィンドウシステム(windowing system)とは、コンピュータの操作画面上に複数のソフトウェアの表示領域を同時に表示させ、即座に切り替えて使用できる方式。また、オペレーティングシステム(OS)などが提供するそのような機能や、そのような機能を実装したソフトウェアのこと。個々のソフトウェアに割り当てられた表示部分は矩形をしていることが多く、これを「ウィンドウ」(window)という。グラフィック表示を用いた操作体系(GUI)を採用しているOSでよく利用される方式で、ソフトウェアを起動する際にウィンドウを与え、その中で表示や操作の受付を行わせる。一つのソフトウェアが複数のウィンドウを利用する方式や、ウィンドウを表示せずに動作するモードなども用意されていることが多い。ウィンドウが置かれる背景部分(画面全体)は「デスクトップ」(desktop)と呼ぶことが多い。
画面上に表示されたウィンドウのうち、最前面に表示され現在操作の対象となっているものを「アクティブウィンドウ」(active window)、それ以外の、背面に隠れるように表示されているか、タスクバーなどに最小化され非表示となっているものを「非アクティブウィンドウ」(inactive window)という。
これらはマウス操作などで即座に切り替えることができ、ウィンドウ間でコピー&ペーストやドラッグ&ドロップなどの操作を行うことでデータの複製や移動などを容易に行うことができる。非アクティブウィンドウのソフトウェアも稼働し続けているが、ソフトウェアによってはアクティブ状態のときだけ表示内容を更新するなど動作モードが切り替わる場合もある。
ウィンドウの構成
通常、ウィンドウは枠線と上部のタイトルバー、表示内容で構成され、タイトルバー部分にソフトウェア名や操作アイコン(全画面表示、最小化、消去など)が並んでいる。ソフトウェアの表示内容が現在のウィンドウサイズに収まりきらない場合は、右端や下端にスクロールバーが現れ、これを動かすことで表示部分を移動することができる。
タイトルバー部分をドラッグ&ドロップ操作することなどにより、ウィンドウをデスクトップ内で自由に移動することができる。また、ウィンドウの縁や端の部分をドラッグ&ドロップすることで、自由に広さや縦横比を変更することができる。
OSとウィンドウシステム
ウィンドウシステムはWindowsやmacOSのように実質的にOSの機能の一部として他のシステムとほとんど一体化されて提供される場合と、UNIX系OSのようにOS自体とは切り離され独立したソフトウェアとして提供される場合がある。
Linuxなどでは「X Window System」「Wayland」などの汎用的なウィンドウシステムを導入することが多いが、具体的な見た目や振る舞い規定する「ウィンドウマネージャ」(window manager)を合わせて導入する必要がある。同じX環境でも利用者が選択したウィンドウマネージャによって画面の表示や操作の体系が異なる。
歴史
現在見られるようなウィンドウシステムの直接の祖先は1973年に米ゼロックス(Xerox)社のパロアルト研究所(PARC)で開発された「Alto」であるとされる。その見た目や操作感を参考に、米アップル(Apple)社の「Macintosh System」および「Mac OS」シリーズや、米マイクロソフト(Microsoft)社の「Windows」シリーズなどが開発され、他の機種やOSにも広まっていった。