ダイアクリティカルマーク 【diacritical mark】
概要
ダイアクリティカルマーク(diacritical mark)とは、アルファベットの文字に付ける記号の一種で、発音の仕方を指示するもの。同じ文字に複数の発音が対応付けられている言語で音を区別するために用いられる。アクセント記号やウムラウトなどが含まれる。多くのヨーロッパの言語に見られる記号で、単語中でのある文字の発音が、その文字の通常の発音とは異なることを表す。どの記号を用いるか、どの記号がどのような発音の変化を表すかは言語によって異なる。同じ記号でも言語によって異なる変化を意味する場合がある。
よく知られる記号としては、ドイツ語などのウムラウト(トレマ)「¨」、スペイン語などのチルダ「~」、ラトビア語などのマクロン「¯」、フランス語やトルコ語などのセディーユ(セディラ)「¸」、チェコ語などのハーチェク(キャロン)「ˇ」などがある。
フランス語やイタリア語などのグレーブアクセント(アクサングラーブ)「`」、イタリア語やスペイン語などのアキュートアクセント(アクサンテギュ)「´」、フランス語やポルトガル語などのサーカムフレックス「^」など単語中のアクセント(強勢)を示すものは「アクセント記号」(accent mark)と総称されることもある。
日本語の濁点「゛」や半濁点「゜」もダイアクリティカルマークの一種とすることがある。また、訓令式ローマ字では長音記号として母音に上線を付すマクロンのような記号を定めており、「放課後」を「hōkago」のように記す。ヘボン式でもこの記法が標準とされている。
文字コードでの扱い
ラテン文字で最も標準的なASCIIコードではサーカムフレックス(94番)、グレーブアクセント(96番)チルダ(126番)が収録されており、本来の用法以外にも様々な用途に用いられている。各言語に固有の記号や、「á」のように記号のついた文字群は、ASCIIの各言語向けの拡張であるISO/IEC 8859などに収録されている。
ダイアクリティカルマーク付きの文字をコンピュータに入力する際には、文字コード規格で定められた記号付きの文字を入力する場合と、文字の前後に特殊なコードを追加することで記号付きに変化させる方法(ISO/IEC 6937など)を用いる場合がある。
国際的な文字コード標準のUnicodeでは各国の文字コード規格に定められた単体の記号、記号付きの文字をすべて収録している。また、文字に結合できる記号(結合文字)として「Combining Diacritical Marks」という記号群を定義しており、任意の文字にダイアクリティカルマークを付与することができる。