Mozilla

概要

Mozillaとは、かつてのWebブラウザ大手、旧ネットスケープ・コミュニケーションズ(Netscape Communications)社の資産を受け継ぎ、オープンソースWebブラウザの開発などを行うアメリカの非営利団体。また、同団体の手がけるプロジェクトやソフトウェアなどのブランド名。

Mozilla Foundation (モジラ・ファウンデーション/モジラ財団)

一般にMozillaとして知られる団体は、米カリフォルニア州マウンテビューに本部を置く非営利法人、Mozilla Foundation(モジラ・ファウンデーション)を指すことが多い。日本ではモジラ財団と訳して紹介されることもある。

1998年にNetscape社が設立したMozilla Organization(モジラ・オーガニゼーション)の活動を引き継ぎ2003年に発足したもので、「Mozilla」等の商標の管理や、WebブラウザMozilla Firefox」(モジラ・ファイアーフォックス)や電子メールクライアントMozilla Thunderbird」(モジラ・サンダーバード)などのオープンソースソフトウェアの開発プロジェクトの統括などを行っている。

Mozilla Corporation (モジラ・コーポレーション)

Mozilla Foundationによって2005年に設立された子会社で、主に収益を伴う活動を行っている。

財団は非営利法人についての法規制等のため収益を得る活動などには制約がある。このため、企業との提携や取引などの窓口や、広告事業などを取り扱う部門としてコーポレーションが立ち上げられた。収益は課税されたのち、すべて財団に還元されている。

歴史

「Mozilla」とはもともと、Netscape社が最初のWebブラウザ製品を発売する前に、当時シェアの高かった「NCSA Mosaic」(モザイク)を打ち負かすという意味を込めた “Mosaic killer” を略して開発コード名にしたものであると説明される。

当時モジラは同社のマスコットキャラクターとしても描かれた(コミカルな緑色の二足歩行のトカゲあるいは怪獣、恐竜のような風貌で描かれている)が、これをデザインしたデーブ・タイタス(Dave Titus)氏は、Mozillaの名はMosaicと日本映画でおなじみの怪獣「ゴジラ」(Godzilla)を掛け合わせたものだったと発言している。

結局ブラウザは「Netscape Navigator」の名称で発売されたが、名残りとしてWebサーバとの通信時に申告するユーザーエージェントUser Agent)名に「Mozilla/5.0」といった文字列が残っており、互換性のため以降ほどんとのWebブラウザがUAに「Mozilla」の文字を含めることとなった。

同社は1990年代後半に米マイクロソフト(Microsoft)社の「Internet Explorer」との競争に敗れるとブラウザ事業から撤退することになり、非営利団体のMozilla Organizationを立ち上げてソフトウェア資産を移管した。プログラムのソースコードはMPL(Mozilla Public Licesnse)と呼ばれる独自の利用許諾(ライセンス)の元でオープンソースとして公開され、以降は世界中のボランティア開発者の助力を得てソフトウェアの開発・公開を続けている。

2002年に公開された新しいWebブラウザであるFirefoxは軽快な動作とアドオンなどの拡張性の高さから世界的に広く受け入れられ、Internet Explorerや後継のMicrosoft Edge(マイクロソフト・エッジ)、米グーグル(Google)社のGoogle Chrome(グーグル・クローム)と三つ巴のシェア争いを繰り広げている。

(2018.9.13更新)

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この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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