耐障害性 【障害許容性】 フォールトトレランス

概要

フォールトトレランス(フォールトトレラント)とは、機器やシステムなどが持つ性質の一つで、構成要素の一部が故障、停止などしても予備の系統に切り替えるなどして機能を保ち、稼動を続行できること。また、そのような仕組みや設計方針。

耐障害性(障害許容性)とは、機器やシステムなどが持つ性質の一つで、構成要素の一部が故障、停止などしても予備の系統に切り替えるなどして機能を保ち、稼動を続行できること。また、そのような仕組みや設計方針。

事故や故障などが起きることを前提に、重要な機能を提供する機器を複数用意したり、一か所の問題が他へ拡大しにくい構造にするなどの手法で備え、一部が機能を失っても全体の性能や機能を落とさずに稼働を続行するような仕組みや考え方を意味する。

例えば、電源装置を二重化して片方が故障しても電源が落ちないコンピュータや、停電すると発電機が起動して電力を供給し続けるビル、二系統の通信回線を引き込み、片方が不通になってももう一方で外部と通信し続けるデータセンターなどが耐障害性を考慮した設計と言える。

とはいえ、どのような損害を受けてもいつまでも正常に稼働し続けるシステムは作ることができないため、損害を受けてから機能を維持し続けられる時間が限られたり(発電機を備えたビルでも多くは数日分の燃料しか備蓄できない)、損害の大きさによっては稼働は継続するが機能や性能が低下したりすることもある。

一方、問題の個所を切り離したり停止するなどして機能や性能を低下させて稼働を継続することは「フェイルソフト」(fail soft)、問題が起きた時になるべく安全な状態に移行するよう制御することは「フェイルセーフ」(fail safe)、誤操作しても危険が生じない、あるいは誤操作できない構造や仕組みに設計することは「フールプルーフ」(foolproof)とそれぞれ呼ばれる。耐障害性をこれらの概念の総称として用いることもある。

また、なるべく故障や障害が生じないようにすることは「フォールトアボイダンス」(fault avoidance)と呼ばれ、フォールトトレランスと対になる概念として用いられる。

(2021.12.8更新)

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試験出題履歴

ITパスポート試験 : 平27春 問64
この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。