SPOF 【Single Point of Failure】 単一障害点 / 単一故障点 / シングルポイント障害
システムの稼働に必ず必要な構成要素のうち、システムに一つしか存在せず、その働きを肩代わりしたり迂回したりする仕組みのない要素のことを指す。そのような要素が停止すると、他のすべての要素が健全でもシステム全体が稼働を中断してしまう。
例えば、複数のハードディスクに分散してデータを記録するRAID技術では、いずれか一台のディスクが破損しても残りのディスクを用いて機能を維持し、ディスクを交換すればデータを復元できるが、データの差配を行うRAIDコントローラが一基しか無ければ、そこが故障してしまうと全体が停止してしまう。
システムがなるべく停止しないようにするにはSPOFを減らすことが重要で、コンピュータシステムや通信ネットワークでは、複数の装置・系統を用意して並列に稼動させたり、異常時に待機させておいた系統にすぐに切り替えて処理を続行する多重化や冗長化がよく行われる。
IT分野に限られた概念ではなく、「その人が休むと部署の業務全体が止まってしまうスタッフ」「島に渡ることができる唯一の橋」「その地域で唯一の変電所」といったように、何らかの仕組みを維持するのに欠かせない構成要素という意味で様々な分野や対象に用いられる。
なお、外資系企業の翻訳資料などを中心に、英語の語順のまま訳語に置き換えた「シングルポイント障害」という対訳が用いられることがあり、一定程度定着しているが、これは日本語としては「単一の箇所で生じる障害」という意味になってしまうため、ある種の誤訳であると考えられる。また、同じ「シングルポイント障害」という語を「SPOFで障害が起きて全体が停止する事象」という意味で用いている資料も見受けられる。
(2024.1.19更新)