DRサイト 【Disaster Recovery site】 ディザスタリカバリサイト

概要

DRサイト(Disaster Recovery site)とは、災害などで主要なITシステム拠点での業務の続行が不可能になった際に、緊急の代替拠点として使用する施設や設備のこと。

業務システムが稼働しているデータセンター情報システム拠点の機能の一部または全部を肩代わりする能力を持った施設で、普段から緊急時に備えてデータバックアップなどをなう。自然災害などの際に主要拠点と同時に被災しないよう、物理的に遠方にある必要がある。

主要拠点の完全な複製であれば完全な代替システムを提供できるが、通常時には使用しない施設・設備に同等の投資をすることは難しいため、基幹業務を止めないために最低限必要な機能を短期間緊急に提供するのに必要な設備のみで構成されることが多い。

普段の待機状態や引き継ぎ方法によっていくつかの運用方式がある。「ホットサイト」(hot site)は本システムと同じシステムを稼働させて常にデータ同期などをいながら待機し、障害時に即座に切り替えられるようにする。

「ウォームサイト」(warm site)は本サイトとほぼ同じシステムを導入して非稼動状態で待機させておき、障害発生後にシステムを起動して運用を引き継ぐ。「コールドサイト」(cold site)は代替用の施設や通信回線などインフラ部分だけを確保しておき、障害が発生してから必要な機材の搬入や設定作業などをって運用を引き継ぐ。

システム停止時に引き継ぎ、切り替え作業を最も速く実施できるのはホットサイトで、次いでウォームサイト、コールドサイトの順になるが、平常時の運用コストが嵩むのもこの順であり、システムの重要性やかけられるコストなどに応じて運用方式が選択される。

ホットサイト (hot site)

企業の情報システムバックアップ施設などの運用方式の一つで、遠隔地に設けた施設に本運用とほぼ同じシステムを導入し、常時データ複製などをいながら稼動状態で待機しておき、障害発生時に直ちに切り替えて運用を引き継ぐ方式。他の方式に比べ最も迅速に切り替え作業を完了できるが、設備などの設営や維持にかかるコストは最も高い。

ウォームサイト (warm site)

企業の情報システムバックアップ施設などの運用方式の一つで、遠隔地に設けた施設に本運用とほぼ同じシステムを導入し、非稼働状態で待機しておき、障害発生後にシステムを起動して運用を引き継ぐ方式。ホットサイトとコールドサイトの中間的な方式で、引き継ぎにかかる時間やコストも両方式の中間程度となる。

コールドサイト (cold site)

企業の情報システムバックアップ施設などの運用方式の一つで、遠隔地に建物や通信回線など最低限のインフラだけを確保しておき、障害が発生してから必要な機材の搬入や設定作業、バックアップデータの導入などをなう方式。他の方式に比べ引き継ぎに時間が掛かるが、設備などの設営や維持にかかるコストは安く済む。

(2018.1.12更新)

他の辞典による解説 (外部サイト)

この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。
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