IaC 【Infrastructure as Code】
概要
IaC(Infrastructure as Code)とは、コンピュータやソフトウェアの構成や設定に関する情報をプログラムコードとして記述し、専用のソフトウェアによって自動的に適用する手法。システム管理から手作業を減らして自動化、省力化を進め、安全性や安定性の向上にも資する。情報システムを運用するためのコンピュータには、オペレーティングシステム(OS)やアプリケーションソフト、ミドルウェア、プログラミング言語の実行環境、追加で必要なプログラム部品(モジュール、コンポーネント)などを展開する必要があり、それらの導入や設定、構成の変更といった操作はコマンドラインツールなどを用いて管理者が手作業で行うことが多かった。
IaCでは構成管理ツールなどのソフトウェアを用いて、指定した作業を自動的に実施するようにすることができる。管理者は簡易なプログラミング言語(ドメイン固有言語)やマークアップ言語などを用いて設定ファイルにシステムの構成や設定などをコードとして記述すると、その内容に従ってツールが自動的にシステムの状態を変更してくれる。
作業内容をコード化することで実施内容が記録されるため、手作業の単純なミスを削減することができ、不具合が生じても後から検証しやすくなる。過去に実施した作業を参照したり、手順がいつどのように変更されたのかをバージョン管理することもできる。同じ環境を何台も用意しなければならない場合もツールが作業を自動的に実施してくれる。
ツールによってコードの書き方は異なるが、大きく分けると「宣言型」(declarative)と「命令型」(imperative)の2種類がある。命令型は「システムに行わせる手続き」をコードとして記述する方式で、従来管理者が打ち込んで実行していたコマンドを保存して自動実行するようなイメージである。宣言型は「システムがあるべき姿」を記述する方式で、どのような手続きでそれを実現するかはツール側で決定する。
IaCを実現するツールのうち、サーバの構成管理ツールとしてはオープンソースソフトウェアの「Chef」や「Puppet」「Ansible」などがよく用いられる。近年ではクラウドサービスの利用拡大に伴いクラウド環境でIaCを行うためのツールやサービスが注目されており、米ハシコープ(HashiCorp)社の「Terraform」、米アマゾンドットコム(Amazon.com)社の「Amazon Cloud Formation」などがよく知られる。