輻輳 【congestion】

概要

輻輳(congestion)とは、ものが一か所に集中して混雑している状態のこと。ITの分野では、通信回線ネットワークに想定を超える接続要求や伝送要求がわれ、通信・通話できなくなる状態を指す。俗に「回線がパンクする」と表現される状態である。

通信回線は平常時の通信量や呼数などを元にある程度通信が増えても対応できるように設計されているが、一時的に多数の利用者からの通信要求が殺到し、許容量を大きく超過する事態が生じることがある。

電話回線の場合には、災害発生時の被災地への安否確認、人気のチケットや製品の予約受付開始、年越しの挨拶、大規模イベントなどで発生することが多い。インターネットの場合には、特定のWebサイトサービスなどが突発的に大きな話題になり、多くの人が一斉に当該サーバへ接続要求をうことで周辺の回線や通信設備に過重な負荷がかかることがある。

輻輳が生じると相手先へ繋がりにくくなるため、呼び出し側が発呼や接続試行を繰り返しうようになり、さらに繋がりにくくなるという悪循環に陥る。最悪の場合には通信設備やネットワークが広域的に機能停止する「輻輳崩壊」と呼ばれる現象に至ることもある。

電話回線で輻輳が発生すると、通信事業者が一部の利用者の発信あるいは着信を制限して強制的に通信量を減らす発信規制がわれる。発信者へは「お客様のおかけになった電話は大変混みあってかかりにくくなっております」などの音声メッセージが流れる。

インターネットの場合には単一の管理主体がいないため輻輳自体を完全に制御することは難しく、特定の相手先に故意に輻輳状態を発生させるDDoS攻撃分散DoS)などへ悪用されることもある。CDNコンテンツデリバリネットワーク)による負荷分散クラウドサービスによる動的な資源割り当てなどにより突発的なアクセス集中へある程度備えることはできる。

(2019.1.23更新)

他の辞典による解説 (外部サイト)

この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。
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