Adobe RGB
概要

赤(Red)・緑(Green)・青(Blue)の各色の強度の組み合わせで表されるRGB値は、それ単独では実際の色を一意に決められない。Adobe RGBは、CMYK方式のカラープリンタや印刷機で再現できる色域を基準にRGB値と物理的な色の対応関係を定めた規格で、画像データの作成や編集、表示、印刷の各工程で色の解釈を統一する。
CRTディスプレイを基準に策定された「sRGB」と比較すると、Adobe RGBは特に緑からシアン付近にかけて表現できる色域が広い。これはCMYK方式の印刷で使われる色再現範囲をできる限りカバーする狙いで設計されたためで、印刷物を最終成果物とする商業デザインや出版分野の機器や画像データで広く採用されている。
デジタルカメラでは、コンパクトカメラやスマートフォン内蔵カメラがsRGBのみに対応する場合が多いのに対し、デジタル一眼レフカメラやミラーレス一眼カメラなどの上級機種や業務用機種ではsRGBとAdobe RGBを切り替えて撮影できるのが一般的である。画像編集ソフトでも、印刷物を想定した作業ではAdobe RGBを色空間に指定し、印刷工程での色の変化を抑えるようにすることが多い。
Adobe RGBは印刷物を基準に広い色域を定義しているため、コンピュータのディスプレイで全域を正確に再現することは難しい。このため、液晶ディスプレイの製品仕様では、Adobe RGBの色域をどれだけ再現できるかを示す「Adobe RGBカバー率」が性能指標の一つとして用いられることがある。クリエイター向けの高性能な機種では90%台後半に達するものもある一方、Adobe RGBに対応していないことを明記している製品も少なくない。
色管理に対応していない機器やソフトウェアでAdobe RGBの画像を扱うと、色がくすんで見えたり彩度が不自然になったりする現象が起きる。そのため、WebサイトやSNSなどディスプレイ表示を想定した画像ではsRGBを使い、印刷物に使用する写真の撮影から編集、印刷までの色管理はAdobe RGBで行うなど、用途に応じた使い分けが行われることが多い。JPEGなどの画像ファイル形式にはメタデータとして色空間の情報を埋め込むことができ、機器やソフトウェアはその情報を参照して色を再現する仕組みになっている。