STN液晶 【Super Twisted Nematic liquid crystal】
概要
STN液晶(Super Twisted Nematic liquid crystal)とは、液晶パネルの駆動方式の一つで、2枚の偏光板の間にねじれ構造を持つ液晶を封入し、電圧の強さで90度を超える大きなねじれを生じさせて透過光の強さを変化させる方式。TN液晶(ねじれネマティック液晶)の一種で、互いに向きがずれた2枚の偏光板を重ね合わせ、その間に液晶分子を満たす。分子は両偏光板の近くではそれぞれの偏光板と同じ方向を向いており、上下端で互いに180~260度回転した向きにあるが、中間では滑らかに角度が変化し、巻き簾の両端を持ってねじったような構造で配列する。
この状態で一方からバックライトの光を入射すると、ねじれに沿って偏光が回転し、両偏光板とも通り抜けることができる。偏光板に垂直な方向に電圧を加えていくと、液晶分子も垂直に立ち上がっていき、ねじれ構造が崩れ、次第に光を通さなくなっていく。完全に分子が立ち上がると偏光が回転しなくなり、反対側の偏光板を通過できなくなる。
初期のTN液晶から発展した方式で、単純マトリックス方式で制御する。後に登場したアクティブマトリクス方式のTFT液晶などに比べると廉価に製造できるが応答速度では劣る。1990年代に携帯型ゲーム機や初期のノートパソコンの液晶画面に採用されていた。現代のTN液晶はアクティブマトリクス方式で駆動する製品が一般的である。
(2024.5.10更新)