電子ペーパー 【electronic paper】 EPD / Electronic Paper Display / eペーパー

概要

電子ペーパー(electronic paper)とは、電気的な原理を用いる表示装置のうち、紙に似た特性を持つもの。モノクロ表示の製品は実用化されており、電子書籍端末などに採用されている。

液晶ディスプレイなどに比べ、極めて薄型・軽量で、表示の維持にほとんどあるいはまったく電気を消費せず、外光の反射だけでくっきりとした精細な表示が可能という特徴がある。将来的には、丸めたり折り曲げたりできる柔軟性や製造コストなども「紙並み」とすることが構想されている。

様々な動作原理の装置が提唱されているが、製品として主流なのは米イー・インク(E Ink)社が開発・製造している電気泳動ディスプレイと呼ばれる方式である。この方式では表示面のフィルムの内側に大量のマイクロカプセルが敷き詰められており、カプセル内部は液体と白および黒の粒子で満たされている。

粒子の一色はプラス、もう一色はマイナスに帯電しており、背面の電極をプラスとして印加するとプラスの粒子が表面に、マイナスとして印加するとマイナスの粒子が表面に移動し、表示色が変化する。電圧を制御して中間階調を表現することもでき、モノクロ4~16階調程度の装置が製品化されている。

表示の変化には電気を使うが、変化後の表示状態は通電しなくても維持され、透過型液晶のような背面の光源(バックライト)も不要なため、極めて消費電力の少ない表示装置となっている。一度の充電で平均数週間使用できる電子書籍端末もある。ただし、電気泳動方式はカラー表示には対応しておらず、反応速度も0.5秒前後(画面の書き換え速度が最速で毎秒1~2回)と遅いため、動画の表示や素早い表示の変化を伴うユーザーインターフェースなどには対応できない。

(2018.12.25更新)

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この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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