DLP 【Digital Light Processing】 DLPプロジェクタ
概要
DLP(Digital Light Processing)とは、壁面に映像を投影するプロジェクタの方式の一つで、光源からの光を数百万の極微細な鏡を内蔵したマイクロチップに通し、映像を形成する方式。このチップを「DLPチップ」あるいは「DMD」(Digital Micromirror Device)という。DMDは半導体製造プロセスを応用した極微小な機械やその集積体である「MEMS」(Micro-Electro-Mechanical Systems)デバイスの一種で、一つ一つの鏡はマイクロメートル単位の大きさである。
個々の鏡は傾斜角をマイクロ秒単位で変えることができ、光源から来た光を投影レンズの方向に反射すれば点灯状態、逸らせば消灯状態になる。中間階調を表現するには極めて短い間隔でオンとオフを切り替え、点灯時間の比率により輝度を調整する。8割の時間オンならライトグレー、2割ならダークグレーといった具合である。
一つの鏡で一つの画素を表示する場合、横800×縦600ピクセルに対応した製品で48万個、1920×1080(フルHD)の解像度に対応したものなら約207万個の鏡が一つのチップに集積されている。
カラー表示への対応は、赤・緑・青の光の三原色(RGB)のそれぞれに対応した光源とDMDのセットを用意してスクリーン上で重ねて表示する「3板式」と、光源からの光を極短時間ごとに赤・緑・青・赤・緑・青…と切り替え、それに合わせて鏡の角度を高速に切り替えて各色の強度を表現する「単板式」がある。3板式は高価であまり一般的ではなく、単板式の製品が多い。
DLP方式は1987年に米テキサス・インスツルメンツ(TI:Texas Instruments)社が開発したもので、「DLP」は同社の登録商標となっている。
(2020.1.29更新)