UX 【User Experience】 ユーザーエクスペリエンス / ユーザー体験
概要
UX(User Experience)とは、ある製品やサービスとの関わりを通じて利用者が得る体験およびその印象の総体。使いやすさのような個別の性質や要素だけでなく、利用者と対象物の出会いから別れまでの間に生まれる経験の全体が含まれる。対象物の機能や性能、内容、使い勝手といった性質そのものよりも、それを通じて利用者が得られる経験がどのようなものであるかに着目する概念である。対象物の持つ特性だけでは決まらず、利用者側の属性や個性、利用者を取り巻く環境や利用時の状況などにも強く影響を受けるため、作り手側ですべてを制御することは難しい。
よく混同されるが、「ユーザーインターフェース」(UI:User Interface)は対象物の具体的な使用・操作の方法や様式を定めたもので、「ユーザビリティ」(usability)は対象物の使い勝手、使いやすさを指す。UXはこれらの要素を含むが、これらを通じて得られる最終的な体験、および体験を通じて惹起される感情が中心となる。
また、従来は製品の使用感をある一回(初回)の使い方や印象に限定して捉えることが多かったが、UXはこれを通時的に捉える。すなわち、製品やサービスと利用者との出会い(プロモーションや販売・加入など)、使用の開始(開封や初期設定など)、使用の継続や反復(様々な状況・環境を含む)、使用の終了(廃棄や買い替え、解約など)といった各場面における利用者の感じ方をそれぞれ検討する。
“user experience” という表現自体は以前から使われていたようだが、1990年代半ばに当時の米アップルコンピュータ(Apple Computer)社(現アップル)に勤務していた認知心理学者のドナルド・ノーマン(Donald A. Norman)博士により、コンピュータやソフトウェアなどの分野で現在の用法が広まったとされている。
現在ではITの分野に限らず工業製品や小売業など様々な分野で引用される概念となり、また、「対象者の体験の総体に着目する」という考え方から「カスタマーエクスペリエンス」(CX:Customer Experience)など様々な “~ experience” という派生概念を生み出している。
関連用語
他の辞典による解説 (外部サイト)
この記事を参照している文書など (外部サイト)
- 東京都昭島市「昭島市デジタル化推進計画」(PDFファイル)にて引用 (2022年3月)
- 富士通総研「知創の杜」13号「ICTによるビジネスと社会のイノベーション創出に必要な取り組みとは」(PDFファイル)にて引用 (2016年12月)
- 日本人間工学会「人間工学」51巻Supplement号「情報システムにおける人間中心設計」(PDFファイル)にて引用 (2015年6月)
- 日本船舶海洋工学会誌 KANRIN(咸臨) 46巻「造船と情報システム開発におけるフロントローディング」(PDFファイル)にて引用 (2013年1月)