IoT 【Internet of Things】 モノのインターネット / インターネットオブシングス
概要
IoT(Internet of Things)とは、コンピュータなどの情報・通信機器だけでなく、世の中に存在する様々な物体(モノ)に通信機能を持たせ、インターネットに接続したり相互に通信することにより、自動認識や自動制御、遠隔計測などを行うこと。自動車の位置情報をリアルタイムに集約して渋滞情報を配信するシステムや、人間の検針員に代わって電力メーターが電力会社と通信して電力使用量を申告するスマートメーター、大型の機械などにセンサーと通信機能を内蔵して稼働状況や故障箇所、交換が必要な部品などを製造元がリアルタイムに把握できるシステムなどが考案されている。
これまでの情報システムとの違いとして、個々の機器の取り扱うデータ量や処理量、通信量は少ないが機器の数が桁違いに膨大であることや、従来のコンピュータ製品が人の周りや特定の場所(建物や部屋)に集中しているのに対しIoT機器は世の中の様々な場所に分散して配置される点などがある。
こうした特徴を反映し、低コストで生産でき低消費電力で稼働するICチップや、多数の機器からデータを集約して解析したり、同時に多数の機器を制御するソフトウェア技術、低消費電力で遠距離通信が可能な無線技術、環境中から微小なエネルギーを取り出す技術(エナジーハーベスティング)などの研究・開発が進められている。
LPWA (Low Power Wide Area)
IoTに必須の要素として、装置の消費電力が少なく、多数の機器を一つのネットワークに収容できる広域的な無線通信技術があり、これを「LPWA」(Low Power Wide Area)と総称する。そのような通信方式で構築されたネットワークは「LPWAN」(Low Power Wide Area Network)とも呼ばれる。
IoTを実現するには、携帯電話網など従来からある広域無線技術に比べ、十~数十kmといった遠距離や広い範囲をカバーでき、乾電池などの乏しい電源でも数か月から数年は稼働できることが求められる。一方、人間がスマートフォンなどの通信機器に求めるような高速なデータ伝送能力は必ずしも必要なく、数十~数百kbps(キロビット毎秒)程度あれば実用に供することができる。
このような特性を備えた新しい通信方式をLPWAと呼び、具体的な規格として「Sigfox」「LoRa」「Wi-Fi HaLow」「Wi-SUN」「LTE-M」「NB-IoT」「RPMA」などの方式が提唱されている。
M2M/センサネットワークとの違い
以前から、機器同士を直接繋いで自律的にシステムを運用する「M2M」(Machine to Machine)や、通信可能なセンサーを分散配置して高度な監視や制御を可能にする「センサネットワーク」(WSN:Wireless Sensor Network)などの概念が存在し、これらはかなりの部分がIoTと重複している。
ただし、IoTはインターネットへの接続を前提とするのに対し、これらの技術は閉じた専用ネットワークや独自プロトコル(通信規約)での運用を想定している場合が多い。また、M2Mやセンサネットワークは特定の目的のために機械同士が情報のやり取りすることで処理が完結する仕組みであることが多いのに対し、IoTは接続された機器と人や外部の情報システムとの相互関係がより重視される傾向がある。
IoE (Internet of Everything)
「ありとあらゆるものが接続されたインターネット」という意味で、モノのインターネットと、人やデータ、情報、ソフトウェアなどが中心の従来からあるインターネットが統合された姿を指す。
とはいえ、従来のインターネットとの違いは多数のモノが接続されている点であるため、実際上はIoTとほぼ同義として用いられることが多い。主に米シスコシステムズ(Cisco Systems)社が提唱している用語である。
関連用語
IoT用語辞典
他の辞典による解説 (外部サイト)
この記事を参照している文書など (外部サイト)
- 書籍「日本の再起動 PDCAからCAPDへ」(祝迫敏之著)にて引用 (2023年11月)
- 独立行政法人日本芸術文化振興会委託事業 PwCコンサルティング「文化芸術活動におけるデジタル技術の活用による表現活動等の先行事例調査 調査報告書」(PDFファイル)にて引用 (2023年5月)
- 独立行政法人中小企業基盤整備機構 Webサイト「ブームから5年、今更聞けない「IoT」の効果について」にて引用 (2022年9月)
- 大阪府堺市上下水道局「堺市上下水道局DXアクションプラン」(PDFファイル)にて引用 (2022年)
- 千葉県柏市「第4次柏市生涯学習推進計画」(PDFファイル)にて引用 (2021年3月)
- 富山県氷見市「第9次氷見市総合計画策定に係る基礎調査結果 報告書」(PDFファイル)にて引用 (2020年8月)
- 組込みシステム技術協会「Bulletin JASA」73号「組込みセキュリティ」(PDFファイル)にて引用 (2020年4月)
- 葛飾区 基本構想・基本計画策定委員会「今後の技術革新の動向について」(PDFファイル)にて引用 (2020年1月)
- 国立研究開発法人産業技術総合研究所(AIST) 第31回 GSJシンポジウム 地圏資源環境研究部門 研究成果報告会「GREEN Report 2019」(PDFファイル)にて引用 (2019年12月)
- 東京都 報道発表資料「都政モニターアンケート『長期戦略の策定に向けて』調査結果」にて引用 (2019年10月)
- 栃木県佐野市「第3次佐野市情報化計画」(PDFファイル)にて引用 (2019年3月)
- 相模原市立総合学習センター 「校内研究: 『2年技術科』IOT社会を展望する!2」にて引用 (2018年12月)
- 商標審決データベース「審判番号 不服2018-7664 」にて引用 (2018年11月)
- 情報処理推進機構(IPA)/電子情報技術産業協会(JEITA) 共催セミナー「データが語るIoT時代を生き抜く組込みソフトウェア開発」発表資料「これからの組込みソフトウェア産業に求められること -IoT進展に伴う課題-」(PDFファイル)にて引用 (2018年9月)
- 科学研究費助成事業 研究成果報告書「次世代生産システムに向けたICTに基づく品質マネジメントシステムの提案」(PDFファイル)にて引用 (2018年5月)
- 新潟リハビリテーション大学「マイクロコンピュータを用いた立位バランス評価システムの開発」(PDFファイル)にて引用 (2017年11月)
- 広島大学 グローバルキャリアデザインセンター若手研究人材養成「第38回コンソーシアム人材セミナー『株式会社富士通研究所』を開催しました」にて引用 (2017年5月)
- 日本電信電話ユーザ協会 Webサイト「ICTコラム」第20回「今だからこそ知っておく、IoTと生活の接点」にて引用 (2017年2月)
- 島根県益田教育事務所「事務所だより 平成28年度 第6号」(PDFファイル)にて (2017年1月)
- 大阪大学 研究専用ポータルサイト「ResOU」研究記事 大阪大学サイバーメディアセンター「高性能コンピュータをクラウドで柔軟に提供可能に!IoT、BigDataなど高度データ分析や科学技術計算を誰もが手軽に」にて引用 (2016年11月)
- 日本ファシリティマネジメント協会 ウィークリーセミナー開催記録「FMへのコンピュータ活用の現状と未来 ~現状の施設を把握するところからFMは始まる~」にて引用 (2016年11月)
- 国立環境研究所「廃棄物処理・リサイクル IoT 導入促進協議会について」にて引用 (2016年10月)
- 国立研究開発法人国立環境研究所「廃棄物処理・リサイクルIoT導入促進協議会について」にて引用 (2016年10月)
- 日経ウーマンオンライン「子供の頃に夢見た『未来』は、思った以上に実現している!? ――ホントです!」にて引用 (2015年11月)
- PHP総研 Webサイト「政策提言『新しい勤勉(KINBEN)宣言―幸せと活力ある未来をつくる働き方とは―』【2】」にて引用 (2015年10月)
- 電気事業連合会 Webサイト 海外電力関連 トピック情報「[米国]GE社が「digital power plant」の概要を発表」にて引用 (2015年10月)