オートコンプリート 【autocomplete】 自動補完 / 入力補完

概要

オートコンプリート(autocomplete)とは、コンピュータにおける文字入力の補助機能の一つで、利用者が入力し始めた先頭の数文字から推測される入力候補を一覧表示し、その中から選択できるようにする方式。すべての文字を打鍵しなくても単語やフレーズを入力することができる。

利用者がキーボードやタッチ操作で文字を入力し始めると、その文字の並びで始まる入力候補のリストを表示し、方向キー矢印キー)操作やタッチ操作などで選択すると、候補に表示された単語やフレーズが入力される。

多くのシステムでは、候補の表示が開始された後も、選択せずに後続の文字を入力し続けることができる。確定した文字数が増えるに従って次第に内容が絞られていき、候補の表示内容が動的に変化する。

例えば、“A” と入力した段階では「ありがとう」「明日」「アカゲザル」だった候補リストが、 “AR” で「ありがとう」「嵐」「アロワナ」に変わり、“ARI” で「ありがとう」「あります」「アリクイ」に変わるといった具合である。

日本語入力や入力フォームのオートコンプリート

パソコンの日本語入力ソフトIME)やスマートフォンの文字入力機能、Webブラウザ入力フォームなどでは、過去の入力履歴を記録しておいて、その中に含まれる単語やフレーズを候補として提示する方式がよく見られる。直前に入力した語や使用頻度の高い語などを候補の上位に表示するようになっていることが多い。

IME検索エンジンのキーワード入力欄などの中には、同じシステムを利用する人たちの過去の入力例を収集し、変換候補や入力候補として提示する機能を持つものがある。この仕組みを応用したWeb検索エンジンの選択肢提示機能は「サジェスト機能」とも呼ばれる。

テキストエディタやシェルのオートコンプリート

プログラミングに用いられるテキストエディタや統合開発環境(IDE)に組み込まれたコードエディタなどの場合には、利用者が記述しているプログラミング言語の仕様などに基づき、予約語やキーワード、シンボル名などを補完候補に表示する機能を持つものがある。

言語仕様や標準ライブラリなどに含まれるキーワードを単純に提示するものが多いが、オブジェクトのインスタンス名を入力するとそのクラス定義から推測されるメソッド名やプロパティ名を自動的に抽出して表示するといった高度な補完機能を提供するものもある。

また、LinuxなどのUNIX系OSのシェル(コマンドラインインターフェース)などの中には、コマンド名などのオートコンプリート機能があり、先頭から数文字を入力すると該当するコマンドを推測して入力候補として提示してくれるものがある。

(2024.3.8更新)

他の辞典による解説 (外部サイト)

試験出題履歴

ITパスポート試験 : 平29秋 問58
この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。