IrDA 【Infrared Data Association】
概要
IrDA(Infrared Data Association)とは、赤外線を利用して近距離の無線データ通信を行う技術規格の一つ。また、同規格を策定する業界団体。初期の携帯電話などでよく利用されていた。電波の代わりに赤外線を用いる無線通信方式で、1m程度の近距離を接続することができる。赤外線は光に性質が近いため遮蔽物を回り込む性質は弱く、障害物で見通しが遮られると通信できない。
1994年に策定された最初の規格では最長1mまでの距離を115kbps(キロビット毎秒)で結ぶことができた。1995年には4Mbpsに、1998年には16Mbpsに高速化された。小型機器向けに最長30cmまでの低消費電力の仕様も用意され、機器をかざしたり隣り合わせて利用した。
規格が策定された当初はなかなか用途開拓が進まなかったが、1990年代後半に携帯電話が爆発的に普及し始めると最大手のNTTドコモが端末と周囲の機器の通信手段として標準採用し、他社も追随し広まった。2000年前後には携帯電話による連絡先交換や機種変更時のデータ移行などの標準的な手段として定着していた。
スマートフォンの時代になると電波を用いる近距離無線通信技術のBluetoothが新たな標準となり、旧来型の端末製品カテゴリー「ガラケー」と共に廃れていった。初期の一対一の伝送モードに加え、周辺機器など複数台を双方向接続する「IrDA Control」や通信速度を高速化した「IrSimple」などの拡張仕様も登場したが、限定的な採用に留まっている。
(2024.9.9更新)
関連用語
他の辞典による解説 (外部サイト)
この記事を参照している文書など (外部サイト)
- 独立行政法人情報通信研究機構(NICT) 新世代ネットワーク推進フォーラム IPネットワークWG レジデンシャルICT SWG 戦略ビジョンタスクフォース「家庭生活に役立つホームネットワークの在るICT社会像の実現に向けた調査報告書」(PDFファイル)にて引用 (2011年11月)