EPC 【Evolved Packet Core】
概要
EPC(Evolved Packet Core)とは、4G(LTE)の移動体通信サービスで用いられるコアネットワークの標準規格。端末と交信する基地局からの地上回線を受け入れ、相互に接続したり他の事業者のネットワークと接続する。インターネットなどと同じIP(Internet Protocol)ベースのネットワークとなっている。移動体通信網の中核となる有線の広域回線網をコアネットワークという。末端の無線基地局や各種の通信設備、拠点施設にある制御システム、外部ネットワークなどを結び、音声信号やデータの中継・転送、設備の制御などを行うための通信網である。
EPCは4G(第4世代)のLTE(Long Term Evolution)方式の移動体通信システムのために規定されたコアネットワークの規格で、3GPP Release 8として標準化された。音声とデータが分離していた3G(第3世代)までとは異なり、音声もVoIP(Voice over IP)技術でパケット化して伝送し、全体をIP化することに成功している。
EPCの主な構成要素としては、端末と認証サーバ(HSS)の中継を行うMME(Mobility Management Entity)、端末とネットワークのデータ通信を仲介する「SGW」(Serving Gateway)、インターネットや他事業者など外部ネットワークと接続する「PGW」(Packet data network Gateway)などがある。
LTEを収容するための規格だが、旧世代の2G(GSM)や3G(CDMA2000/W-CDMA)、あるいはWiMAXやWi-Fiなど異なる種類の無線アクセス方式も収容して統合的に運用することができ、同じ端末がこれらの通信方式をまたいで自動的に切り替え(ハンドオーバー)を行うといった仕組みを構築することができる。
5Gでは新たに「5GC」(5G Core)というコアネットワーク仕様が規定されたが、EPCに5Gの基地局(gNodeB)を接続して4G基地局(eNodeB)群と混在させる「NSA」(Non-Standalone)構成も選択できる。普及初期の段階では各社ともこの方式での整備を進めているが、5Gの性能や機能をフルに引き出すには、いずれ5GCを整備してEPCと分離する「SA」(Standalone)構成への移行が必要になる。