通信事業者【telecommunications carrier】通信キャリア
概要

通信事業者は、回線網や基地局、交換機などの設備を自ら保有・運営してサービスを提供する企業と、設備を持たずにサービスを提供する企業に大別される。単に通信事業者と言う場合、また、特に「キャリア」(carrier)と呼ぶ場合は、前者の自前設備型の企業を指すことが多い。
設備を持たない事業者の代表例が、インターネット接続を提供する「インターネットサービスプロバイダ」(ISP)である。また、キャリアの回線網を借りて携帯電話サービスを提供する「MVNO」(Mobile Virtual Networ Operator)も、後者に含まれる。利用者にとって受けられるサービス自体に大きな違いはないが、設備の保有や運用の主体が異なる。
国内で自前の回線網を保有するキャリアには、固定電話やインターネットアクセス回線を手がけるNTT東日本、NTT西日本、NTTドコモビジネス、携帯電話事業を担うNTTドコモ、KDDI、沖縄セルラー電話、ソフトバンク、楽天モバイル、UQコミュニケーションズなどがある。これに加え、衛星通信を手がけるスカパーJSAT、各地域の電力会社系列の通信事業者(関西電力系のオプテージなど)、各地域のケーブルテレビ事業者なども、独自の設備を持つ通信事業者である。
通信事業者が提供するサービスは、個人向けの固定電話や携帯電話だけでなく、企業向けの専用線、データセンター間接続、IoT機器向け通信、クラウド接続サービスなど多様化している。社会の情報伝達を支える基盤として、災害時の通信確保やサイバー攻撃への対策など、安定した通信品質を維持する責任も求められている。
かつての電気通信事業法では、自前で設備を持つ事業者を「第一種電気通信事業者」、設備を持たない事業者を「第二種電気通信事業者」として区分していたが、1999年の法改正によりこの区分は撤廃された。現在は設備保有の有無による法的な分類は設けられておらず、登録制(自前設備あり)と届出制(自前設備なし)という枠組みに整理されている。