PHS 【Personal Handyphone System】
概要
PHS(Personal Handyphone System)とは、電話機本体と受話器が無線で通信するコードレス電話の技術から発展した携帯電話・移動体データ通信サービス。「簡易型携帯電話」とも呼ばれ、日本では20世紀末に数年間だけ広く普及した。家庭などで使われる電話機の無線子機の技術をベースに発展した無線通話システムで、一つの無線基地局がカバーする範囲が狭く、端末あたりの周波数帯域が通常の携帯電話よりも広い。
同世代の携帯電話技術に比べ、データ通信が高速(携帯電話が9.6bpsの時代に32~64kbpsを実現)で音声品質も高いという特徴があったが、通話・データ通信中の基地局の動的な切り替え(ハンドオーバー)に対応しておらず、高速移動中には使用できない制約があった。
歴史
1995年にNTTパーソナル(NTT系)、DDIポケット(当時のDDI系)、アステル(電力系)の三陣営がサービスを開始した。基地局が小型で既存のISDN通信網を利用して設置できたこともあり、都市部での通話エリアは速やかに広がった。
通信料金の安さから学生などを中心に「ピッチ」の愛称で親しまれ、それまで若者に人気だったページャ(ポケベル)サービスからの乗り換えが相次ぐなど、大きく契約数を伸ばした。
2000年代初頭に携帯電話の低価格化やデータ通信の高速化が進むと当初PHSにあった優位性は薄れ、人口密集地以外での通話エリアの狭さや高速移動中に通話できない不便さなどが次第に敬遠されるようになっていった。
アステルが2005年に、旧NTTパーソナル(NTTドコモPHS)が2008年にサービス終了し、残ったDDIポケットはウィルコム、イー・アクセス、ワイモバイルと変遷しながらソフトバンクグループ傘下でサービスを継続していたが、2018年に新規加入受付を終了している。
(2019.7.26更新)