MVNO 【Mobile Virtual Network Operator】 仮想移動体通信事業者
概要
MVNO(Mobile Virtual Network Operator)とは、移動体通信ネットワークの回線や設備を他社から借り受けて携帯電話・移動体データ通信サービスを提供する事業者のこと。様々な業種の企業が格安な料金、自社の製品やサービス、ブランドとの連携など特色ある通信サービスを提供している。一般的な移動体通信事業者(キャリア)は自社で基地局やバックボーン回線、拠点施設などを敷設・運用して通信サービスを提供しているが、MVNO事業者はこうした自前設備を持つ大手キャリアから設備を借り受け、自前のブランドや料金体系でサービスを提供する。
移動体通信サービスのための無線周波数帯を占有するための免許が交付されるのは国ごとに3~4社程度しかないが、免許を受けた事業者の設備を利用することで、免許のない事業者も移動体通信サービスを提供することが可能になる。電波は公共財であり、多くの国ではキャリア設備を一定の条件でMVNOに開放することを義務付ける制度が整えられている。
多くのMVNO事業者は大手事業者より通信料金が安いことを売りにしているが、法人向けに料金の公私区分サービスを提供したり、大手事業者にはない料金プランや課金方式を用意したり、すでに事業を行っている企業(ISPやネットサービス事業者など)が自社サービスとの連携や割引などを行ったりと、なんらかの独自サービスを付加して再販している事業者が多い。
日本ではNTTドコモ、au(KDDI/沖縄セルラー)、ソフトバンクの三大キャリアから回線を借り受けてサービスを提供しており、2013年頃から様々な事業者が参入して大きく契約者数を伸ばした。多くのMVNOは大手キャリアのいずれか一社のインフラを利用しているが、二社のキャリアと契約して利用者が選択したり切り替えたりできるサービスもある。
なお、固定回線で同様に回線設備を借り受けて通信サービスを提供する事業者を「FVNO」(Fixed Virtual Network Operator)と呼び、MVNOと合わせて「VNO」(Virtual Network Operator)と総称する場合もある。また、通信事業のノウハウのない事業者に対してMVNO事業への参入や事業運営を支援する事業者を「MVNE」(Mobile Virtual Network Enabler)という。