非接触ICカード 【contactless smart card】

概要

非接触ICカード(contactless smart card)とは、内部にデータを記録する集積回路(IC)を内蔵したプラスチックカードの一種で、内蔵アンテナによる無線通信によって端末に触れなくてもデータの読み書きが可能なもの。

ICチップとコイル状のアンテナを内蔵しており、無線電波は信号の送受信とカード自身が動作するための電力供給(電磁誘導)の両方に用いられる。内部に電源を持たないため充電や電池交換が不要である。

カードをアクセス装置(カードリーダー/ライター)から数mm~数cmの距離に近づけると、装置の発する微弱な電波による電力で起動し、装置との間で決められた手順に従ってデータの送受信が行われる。チップ内の不揮発性メモリフラッシュメモリなど)にデータを保存でき、装置からカードを離して電力供給が途絶えた後もデータを保持し続けることができる。

カードと機器の端子を接触したり固定する必要がないため、振動などの影響を受けにくく、誤操作や摩耗などによる損傷も起こりにくい。外部に通じる電気的な接点がなく製造時に密閉することができるため、汚れや埃、水濡れに強い。抜き差し等が不要な点は、利用者を次々にさばく必要がある公共交通の改札などで特に有用な特徴である。

日本を含む各国でクレジットカードやキャッシュカード、鉄道やバスICカード乗車券、プリペイドカード、カード型電子マネー、社員証、学生証、国民・住民登録カード、外国人登録カード、運転免許証、パスポートなどとして幅広く普及している。

技術標準としてソニーなどが推進する日本のFeliCaフェリカ)、蘭フィリップス(Philips)社(現NXPセミコンダクターズ)などが推進する欧州のMifare(マイフェア)が早くから浸透しており、両者を併記したNFC(Near Field Communications)がISO/IEC 18092として標準化された。

(2018.10.8更新)

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この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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