無線 【wireless】 ワイヤレス

概要

無線(wireless)とは、「有線」(wired)の対義語で、複数の機器を繋ぐのに電気や光を通す線状の器具で物理的に接触させる以外の方法を用いること。一般的には、空間中に電波や可視光線、赤外線などを発して信号や電力を伝送する手法を指す。

有線の方式が先に、あるいは優勢に普及した分野で、これと区別するために無線という表現を用いることが多い。例えば、電気通信は金属線(電線)による有線方式が先に広まったため、後から普及した電波による方式を「無線通信」と呼ぶのが一般的となった。一方、放送は最初から無線方式が一般的だったため、加入者宅まで通信線を引き込む方式のことを「有線放送」と呼ぶ。

単に無線といった場合は無線通信、中でも電波を用いる方式を指すことが多い。19世紀末に発明され、当初は遠隔地間の電信や船舶・航空機などとの通信手段として実用化された。電波は広く空間に拡散し、周波数によっては遠距離の伝送が可能な性質から、ラジオ放送やテレビ放送などで広く普及した。

しかし、電波周波数帯域は同じ空間内(状況により室内、地域内、国内、地球上など範囲は異なる)ではすべての通信主体が共有する資源であり、同じ周波数で同じ時刻に複数の主体が信号を送出すると混信してしまうという制約がある。このため、有線通信に比べ一対一および双方向の通信手段としてはなかなか技術開発や普及が進まなかった。

20世紀末頃から大きな技術の進展が見られ、携帯電話・移動体データ通信無線LANWi-Fi)、近距離無線通信などの形で主にコンピュータネットワークデータ通信の分野で広く普及するようになっている。同時代の技術で比較すると有線の方が通信速度が速く通信品質も安定させやすいが、無線は配線に縛られず屋外や移動中に使えるという利点がある。

一方、分野によっては赤外線や可視光などが用いられる場合もある。これらは指向性が強く遠距離の伝送に向かないため、主に近距離のデータ通信や家電製品のリモコンなどで用いられる。また、近年では電磁誘導などの原理を応用して無線で電力を供給するワイヤレス給電も実用化され、携帯機器の充電などで利用されている。

(2019.7.17更新)

他の辞典による解説 (外部サイト)

この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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