800MHz帯
概要

800MHzの電波の波長は約37.5cmと比較的長く、回折性に優れるため障害物の多い場所でも届きやすい。この特性から800MHz帯は携帯電話など移動体通信に適した周波数帯とされ、日本では実用化の当初から主力帯域として利用されてきた。
電波は周波数によって伝わり方が異なる。800MHz帯の電波は1.5GHz帯や2GHz帯などの高い周波数帯に比べて直進性が弱く、ビルや地形といった障害物を回り込んで伝わる「回折」の性質が強い。山間部や郊外のような広い地域を少ない基地局でカバーしやすく、建物内部や地下空間にも電波が届きやすい。波長が長いことから、20cm弱から10cm弱程度の比較的小型なアンテナでも効率よく送受信できる。
こうした性質を持つ周波数帯は、携帯電話事業者にとって通信エリアを効率的に構築できる利用価値の高い電波資源と位置付けられている。日本では1980年代の自動車電話の時代から800MHz帯が通信用に割り当てられ、その後の携帯電話サービスでも音声通話やデータ通信の基幹帯域として使われ続けてきた。現在では第4世代(4G)や第5世代(5G)の移動通信システムでも、高速通信に加えて通信エリアを確保する役割を担う帯域として運用されている。
かつては携帯電話以外の様々な用途にも細かく割り当てられていた。テレビ放送の一部のチャンネル、イベント等で使うワイヤレスマイク、企業の業務用無線であるMCA無線、航空機との交信に使う航空無線などである。しかし、2000年代以降、携帯電話やモバイルデータ通信の急速な普及に伴い、利用可能な周波数帯域の逼迫が深刻化したことを受け、従来これらの用途に割り当てられていた周波数の一部を段階的に縮小し、空いた帯域を携帯電話・移動体データ通信向けに再配分する周波数再編が進められてきた。地上デジタル放送への移行に伴って空いたアナログテレビ放送用の帯域が用途転換された例などがよく知られる。