ICタグ 【IC tag】 電子タグ / RFタグ / 無線タグ

概要

ICタグ(IC tag)とは、コンピュータシステムによる自動的な物品の認識・識別に用いられる、無線通信のためのICチップを内蔵した小さな荷札(タグ)などのこと。

内蔵した半導体メモリに固有の識別番号などの情報を記憶し、外部の読み取り装置からの電波に応答して送信する。物体に取り付けたICタグと無線で更新して存在の認識や識別を自動化するシステムをRFIDRadio Frequency Identification)という。

形状やサイズは用途や性能に応じて様々で、荷札のようなラベル型の他にもカード型、コイン型、スティック型などがある。通信可能距離は数cm程度と装置に近接させて使用する前提のものから、最長で100m程度までのものがある。

物流における商品や荷物の識別、移動や加工などの履歴の記録や追跡、小売店舗での商品の単品管理や盗難防止(万引き防止タグ)、図書館の蔵書管理などに応用されている。

バーコードタグとの違い

従来のバーコードが記載されたタグは人の手で読み取り装置をかざして一つずつ読み取る必要があるが、ICタグでは装置を一定の距離に近接させるだけでよく、近くにある複数のタグを同時に読み取ることができ、作業の自動化や省力化、高速化が可能となる。

無線を用いるため、金属に覆われて通信できない状況にならないよう注意すれば、タグの表面は必ずしも露出していなくてよく、物品が積み重なっていたり梱包したままでもよい。表面の汚れなどを気にする必要もない。

識別情報は半導体メモリに格納されており、フラッシュメモリなどを記憶媒体とするものは外部との通信により内容の追加や書き換え、消去に対応しているものもある。複雑で高度な情報の管理やタグの再利用などが可能である。

アクティブタグとパッシブタグ

構造の違いにより、アクティブタグ(active tag/能動タグ)とパッシブタグ(passive tag/受動タグ)、両者の中間のセミアクティブタグ(semi-active tag/電源内蔵だが受動的にしか動作しない)に分類される。

アクティブタグは内部に電池を内蔵し、その電力により通信回路を駆動して通信する。数十m程度と遠距離の通信が可能で、一定時間ごとに定期的に情報を送信するといった能動的な使い方ができる。構造が複雑で部品点数が多いため一定以上の小型化や低コスト化は難しく、また、電池切れにより機能を停止する。

パッシブタグは内部に電源を持たず、外部からの無線通信用の電波から電力を得て回路を駆動する。周波数帯や通信方式によっても異なるが、数十cmから数mまで通信可能なものある。電源が不要で壊れなければ半永久的に使用でき、10円以下といった極めて低コストの製品や数mm角といった極めて小さな製品が開発されている。

(2019.2.5更新)

他の辞典による解説 (外部サイト)

試験出題履歴

ITパスポート試験 : 平29春 問22
この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。