LTE-Advanced 【LTEアドバンスト】 LTE-A

概要

LTE-Advanced(LTEアドバンスト)とは、第4世代携帯電話(4G)の代表的な標準規格で、前世代のLTE(Long Term Evolution)を高度化したもの。国際的な標準化プロジェクト3GPPが規格化し、国際電気通信連合(ITU)によって標準として採択された。

LTE互換性を保ちながら主にデータ通信速度の高速化のための新たな仕様が盛り込まれており、理論上の最高通信速度は下り3Gbpsギガビット毎秒)、上り1.5Gbpsにものぼる。

LTE-Advancedに対応した基地局端末は原則としてそのままLTEでも通信が可能なため、LTEによる携帯電話・移動体データ通信サービスを導入している事業者が契約者に付加的な高速データ通信サービス通信エリアとして提供している。

具体的な技術としては、不連続な複数の周波数帯域チャネル)を束ねて同時に信号を送受信することで何倍にも速度を向上させる「キャリアアグリゲーション」(CACarrier Aggregation)、最高で8本までのアンテナの組み合わせて伝送路を多重化する「8×8 MIMO」、隣接する基地局間で連携してセル境界付近にある端末の信号強度を高める「CoMP」(Coordinated Multi-Point:多地点協調)、一回の送信で256のシンボルを送り伝送密度を高める「256QAM」(LTEでは64QAM)などが採用されている。

日本ではNTTドコモが「PREMIUM 4G」の名称でXiクロッシィサービス契約者に付加サービスとして提供しているほか、auKDDI/沖縄セルラー)やソフトバンクキャリアアグリゲーション機能としてそれぞれの「4G LTEサービス契約者に提供している。

「4G」の名称

もともと、3Gデータ通信を高速化した拡張仕様のHSPAHSDPA/HSUPA)やHSPA+が「3.5G」(第3.5世代)、LTEは「Super 3G」「3.9G」などと呼ばれ、「4G」はこの次の世代であるIMT-Advanced(LTE-AdvancedとWiMAX 2)となる予定だった。

ところが、LTE-Advancedの商用化が近づくと一部のメーカーや通信事業者HSPA+LTE4G方式と宣伝し始めたため、国際電気通信連合・無線通信部門(ITU-R)が混乱を避けるためこれを追認し、2010年12月に高度化3G規格も4Gと呼称してよいとする声明を発表した。

以後、なし崩し的に次々にLTE4Gと呼ぶ事業者が相次ぎ、現在ではLTE4G、LTE-Advancedが4G5Gの間を埋める「繋ぎ」のような位置付けになってしまった。

日本では2010年に最も早くLTEサービスXi」を開始したNTTドコモはこれを4Gと呼ばなかったが、2012年にLTEサービスを開始したauKDDI/沖縄セルラー)は「au 4G LTE」、ソフトバンクは「Softbank 4G LTE」といったサービス名を採用した。

ドコモは2015年にLTE-Advanced方式の「PREMIUM 4G」を開始し、あくまでLTE-Advancedを4Gに位置付けていたが、翌2016年にはXiを「4G」、PREMIUM 4Gを「4G+」と表記するよう改め、事実上LTE-Advancedを4Gとすることを認める形となった。

(2019.8.21更新)

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この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。
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