移動体通信【mobile communication】モバイル通信/モバイルコミュニケーション
概要

狭義には、通信事業者が加入者向けに提供する公衆無線通信サービスを指し、一般にはこの意味で使われることが多い。広義には、警察無線やタクシー無線などの業務用無線、特定小電力無線、アマチュア無線なども移動体通信に含まれることがある。
無線通信のすべてが移動体通信に分類されるわけではない。無線LAN(Wi-Fi)やFWA(固定無線アクセス)、コードレス電話なども無線区間があるが、端末の利用場所が狭い範囲に限られ、広域移動を前提とした仕組みを持たないため移動体通信には含まれない。
公衆移動通信サービスでは、半径数百メートルから数キロメートルをカバーする基地局を多数設置し、各基地局が電波の届く範囲にいる端末と無線で交信する「セルラー方式」が採用され、多数の利用者が同時に通信・通話できる仕組みになっている。利用者が移動すると接続先の基地局が自動的に切り替わる「ハンドオーバー」(handover)という仕組みがあるため、利用者は基地局の存在を特に意識しなくて良い。
歴史
日本における移動体通信は、1968年に日本電信電話公社(電電公社)がページャ(製品名は「ポケットベル」)の提供を開始したことに始まる。1979年には自動車電話、1982年には衛星電話(インマルサット)、1985年には携帯電話サービスが開始された。1985年の携帯電話は技術的には自動車電話と同一であったが、車載を前提としない端末が初めて登場した点で画期的であった。
1990年代以降は端末の小型化とデジタル化が進み、PHSや携帯電話が急速に普及した。2000年代に入るとデータ通信の高速化により、従来のフィーチャーフォンからスマートフォンへと主役が移行し、インターネット接続やメールの利用が一般化した。2010年代には携帯電話の契約数が人口を上回る水準となり、移動体通信は社会や経済活動を支える基幹インフラとして定着した。
通信方式も世代ごとに進化を続けている。第3世代(3G)では高速データ通信が実現し、端末でのインターネット利用が定着した。第4世代(4G)では大容量通信によりスマートフォンの普及を後押しした。第5世代(5G)では高速・大容量に加え、低遅延と多数同時接続が実現され、動画配信や位置情報サービス、IoT機器の通信など利用範囲が広がっている。現在は次世代となる6Gの研究開発が各国で進められている。