ZigBee
概要
ZigBeeとは、IoTやセンサーネットワーク、家電の遠隔制御などに用いられる近距離無線通信規格の一つ。通信速度は遅いが低消費電力で、多数の装置がバケツリレー式にデータを運ぶメッシュネットワークに対応している。物理層の規格はIEEE 802.15.4としてIEEEが標準化しており、その上で機能するプロトコル(通信規約)などの仕様は業界団体のZigbee Allianceが策定している。「ZigBee」の商標は同団体が保有しており、対応機器などの認証を行っている。IEEE 802.15.4に対応しているだけではZigBee対応をうたうことはできず、また、物理層を別の方式に替えてZigBeeシステムを構成することも可能である。
通信に用いる電波の周波数帯は868MHz帯(主に欧州向け)、915MHz帯(主に米国向け)、2.4GHz帯(全世界向け)の3つが用意され、最高通信速度は順に20kbps(キロビット毎秒)、40kbps、250kbpsとなっている。日本では2.4GHz帯が使用される。装置間が直接通信可能な実用的な距離は10~20m程度までとされる。
ZigBee機器は機能や役割に応じて、無線ネットワークを管理するコーディネータ(ZigBee Coordinator)、他の装置間の通信の中継を行うことができるルータ(ZigBee Router)、末端に接続され間欠的に通信するエンドデバイス(ZigBee End device)の3つがある。
ルータは他のルータやエンドデバイスからの通信を別のルータやコーディネータに中継することができるため、網(メッシュ)状に連結してバケツリレー式に端から端までデータを転送することができる。距離的にコーディネータと直接通信できない位置にあるエンドデバイスも含めて一つのネットワークを形成することができる。
各装置には製造時に64ビットの固有な識別子が割り当てられているほか、ネットワークに参加する際に16ビットのアドレスが割り当てられる。仕様上は一つのネットワークで65,536(216)台の機器を識別できるが、実際の製品仕様などでは数百台程度までの接続が可能なものが多い。
機器の種類や用途に応じて実装すべき仕様のセットを定めたアプリケーションプロファイルが規定されており、家電制御などを行うための「Home Automation Profile」、機器間の電力制御などを行うための「Smart Energy Profile」、スマートホーム向けリモコン仕様「Remote Control Profile」などの種類がある。